■テーマ2 売れてないのに目立つクルマ
BC テーマ2は1とは“逆”の印象。まずはレクサス勢。RC FとLC、売れていないのに街中で目立ちますが……。
鈴木 うむむ……。RC F、そんなに目立つと僕は思えないですね。
でも目立つ以前に、本当に見ないよね(笑)。例えば土日の都内や高速道路で、BMWのMやAMGが走っていると、存在感あるオラオラ感があふれているんだけど、RC Fがたとえ走っていても、それがないもの。悲しいかな。
レクサスLC、こっちは目立つ。リアフェンダーの美しい張り出し具合がかなり目立ち、街中を走っていると“ボン・キュッ・ボン!”といったグラマラスなスタイルが目に飛び込んでくる。
スポーツモデルでいうと2007年登場時の現行GT-R。その年から2~3年はあの塊感のあるデザインが鮮烈で、たまに走っているとかなり目立っていた。
もっともクルマそのものが復活したGT-Rだっただけに、雑誌も毎号のように取りあげ、僕らもつい注視するクルマだった。それゆえに目についたということはあるでしょうね。
BC そしてスープラ。これは……見ないですよね。目にした時は、あのアグレッシブなデザインなのでかなり目立つけど。
鈴木 マグナで少しずつ作り、日本へのデリバリーも本当に少しずつなので、日本で見かける日はそう遠くないかな……。売れていないのに目立つクルマというより、希少すぎて目立つクルマ、だね。
BC 月販一桁台数や300台ほどのクルマたち。これらのなかで“わずかだけど目につく”というのはあります。例えば、クラリティPHEVとか?
鈴木 はい。それが走っていたら目につく。トキのようにめったに見ることのなくなったクルマですからね。もっとも新潟県内で見るトキのほうが確率は高い気がしますけど……。
その前のFCXクラリティもかなり見なかったので目立っていましたね。
続いてはミラージュですか……。これは絶妙な選出。例えば、同じコンパクトカーのヴィッツやマーチを街中で見かけてもピクッとこないけど、ミラージュはピクッと目につく。
言うなれば「アジアから出稼ぎにきた人」という、どこかけなげさが漂う。売れていないだけに、頑張っている感が漂うね。それだけに心へ刺さる感じ、あります。
BC 同じクラスでセダンがないグレイス。それだけに目につくと思いますけど……。
鈴木 確かに売れていなくてもやや目立つかも。Bセグのセダンなんてほぼないから、そう感じるのだろうね。
その前に、売れていないこのクルマの販売戦略がよくわからない。前身のフィットアリアはタイでの生産だったけど、グレイスは国内で生産して売る、というこの戦略はいかがなものかと思う。価格もそれほど安くはないし。
普通の人はグレイスの存在すら知らないと思う。……ということで、自ら売れないレールに乗り、ちょい目立ちグルマになったということですね。
BC Bセグモデルあります。バレーノです。地味ですけど、地味なだけに目立つ感じが…。
鈴木 するねぇ! 僕、このクルマが登場した時、高い評価で原稿を書いていた(笑)。1Lターボでね。それが今では売れずに目立つクルマですか……。
実はスタイルも独特なので、走っていると「お、バレーノ!」と思う。こう感じるクルマ好きも多いと思うよ。
僕はこういうクルマを見るたびに思うのが「このクルマに乗っている人はどういう人なのだろう」ということ。あえてバレーノに乗る理由、これを知りたいです。そう思わせている時点で、気になるクルマになり、目立つクルマになる、という方程式があてはまるんでしょうね。
BC 日本では全体的に見て販売低調気味のセダン。このなかでも目立つのがスバルのセダンのような気がしますが、どうでしょうか?
鈴木 なるほど。その筆頭がレガシィB4だろうね。特徴的なカタチではないけど、それだけに「あのセダンは何だ?」と目がいく。この場合も前出のバレーノ同様、どういう人が買うのだろう? と。
スバリストが買うのかもしれないけど、「あなたはなぜ買ったのですか?」とインタビューしたいですね。
インプレッサG4も同じ理由で目立つ。これも走っていれば「おおっ」と目につく。
……ということで「スバルのセダンは派手さはなく販売も伸びず。でも、目立つ」ということがいえますね。
BC 売れ筋のSUVのなかで、売れていないSX4 Sクロス。だからこそ異彩を放っている感じがするのですけど……
鈴木 顔も特徴的に変わったし、「マイナーな部分」で、走っていれば目立つクルマだろうね。
売れていないけど乗ると結構いいですよ。新開発のブースタージェットエンジンというのも搭載されているし。
でも、同じスズキのジムニーは数的にはそれより売れていて、目立ち度もかなりなもの。四角! という形だからね。
BC 数多く走るミニバン。そのなかで目立つモデルは……?
鈴木 デリカD:5、これは目立つ。月販2000台ほどで売れていないわけじゃないけど、四角いミニバンで背が高いだけでデリカは目につくのに、モデルチェンジでインパクトのある顔になったんだから!
また、前項で「中庸」として取り上げたノア/ヴォクは山ほど走っており景色の一部になっているけど、台数が少ないエスクァイアはつい目につく。これも“顔”の影響だろうね。
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