名門セドリック/グロリアの系譜を引く日産の名門セダン「フーガ」が、改良で日産バッジに“原点回帰”。販売不振が続く名門が「スカイライン」に続いて、再び「NISSAN」のバッジを纏った背景とは?
日産は、2019年12月23日に「近く全国一斉に発売する」と発表したフーガの一部改良モデルを、今月中にも発売することが明らかとなった。改良としてはごく小規模ながら、フロントグリルに再び日産バッジを付けることが話題となっている。
インフィニティは、日産が海外で展開する上級ブランド。トヨタに対してのレクサスにあたるブランドで、フーガとスカイラインの現行モデルは、このインフィニティバッジを採用していた。
ところが、2019年9月の改良モデルでスカイラインが再び日産バッジに変更。そして、今回フーガも日産バッジに“出戻り”となる。
そもそもフーガは2009年の発売当初、日産バッジを纏っていた。それをわざわざインフィニティバッジに替え、今回の改良で再び日産バッジに回帰した理由とは? 販売不振に苦しむフーガの今後とともに背景を解説する。
文:遠藤徹
写真:NISSAN
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インフィニティから日産バッジへ! フーガ出戻りの理由は?
日産 フーガが、2020年1月中旬の一部改良によって従来の「インフィンティ」バッジから、以前の「日産」バッジに戻したことでちょっとした話題になっている。
日産はこれについて「フーガはニッサンインテリジェントモビリティを具現化する先進安全技術の更なる進化に伴い、ブランドバッジを日産にした」と説明している。
首都圏にある日産販売店の営業担当者は、
「スカイラインについでフーガを日産バッジに戻したのは、あまり両モデルの売れ行きが良くないので環境を変える必要があったのではないか。
インフィニティバッジを採用したのは、スカイライン、フーガとも北米やヨーロッパでは高級プレミアムモデルのインフィニティブランドとして販売しているので、グローバルで知られている名称に合わせる必要があった。
ところが『インフィンティ』は、日本ではあまり馴染みがなく、売れ行きの回復に繋がらなかったので、元に戻すことになったのかもしれない」
とコメントする。そのきっかけは最近、日産バッジのデザインが変わり、これに国内では統一しようという方針に変更があったらしい。
日産セダンに再編あり!? フーガの今後は?
フーガの最近の売れ行きはまったくの不振状態にある。2019年の月販平均は僅か88台で前年比24.3%の大幅なマイナス。1月の仕様変更くらいでは復活できそうもない状況にある。
2019年9月にビッグマイナーチェンジしたスカイラインは、フロントマスクの一新や自動運転支援デバイスの「プロパイロット」を2.0に進化させて装備し、これに日産バッジ復活を合わせたことで多少の効果はあった。改良前までは月販200台そこそこにとどまっていたのが9月は1067台に急増した。
ところがその後は10月384台、11月526台、12月380台と徐々に頭打ち傾向に逆戻りしている状況にある。
セダンはクラスに関係なく、ここ数年はどのメーカー車も売れ行き不振状態にある。このためフルモデルチェンジができずに生産中止の運命にあるモデルが続出しつつある趨勢になっている。
日産も2019年末でFF最上級モデルのティアナを生産終了した。他のセダンはどうなるのか。
上級モデルはシーマ、フーガ、スカイラインとあるが、このうちスカイラインはほぼ確実に残りそうだ。
一方、フーガ、シーマは海外のインフィニティブランドでは継続するだろうが、国内バージョンは廃止となる可能性がある。
日産は最近になって「10%程度国内向けの車種数を削減したい」と表明しており、その中にフーガも入っている可能性がある。どちらにしても次期型の開発プロジェクトは動いていないようだ。
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