売れる商品の安心感はアマゾンレビューを見て買うようなもの
2つ目は「皆が買っていることの安心感」だ。
最も売れているクルマであれば、不具合もないであろうし、何やら安全装備もたくさんついているし、なんなら向かいの家もプリウスだし、うちもプリウスがいいや、という思考である。
アマゾンでの購入時に、レビューが多い商品を無意識に選ぶような流れであろう。数百万円もするクルマを、家電と同じような感覚で、話題のものを購入する方は、一定数いる。
販売店やホームページでは、「最も売れているクルマはこちらです」という流れでお薦めしやすいだろうし、クルマの種類をよく知らない方にとっては、ナンバー1のクルマを買えば間違いない、と安心できるのだろう。
プリウスを買えば立派なステータスが簡単に手に入る
そして3つ目が「ステータス性」だ。
個人的な見解だが、おそらくプリウスを購入されている方の大半が、プリウスが排気量何リットルのガソリンエンジンを積んでいるのか、車幅が何ミリあるのか、リアサスペンションの形式が何か、知らないのではないだろうか。
※正解は、排気量1.8リットル、車幅1760ミリ、リアダブルウィッシュボーン形式である。
先進的なイメージで、環境性能が良い、そして最も売れている。こうしたステータスが、プリウスを買えば手に入るのだ。
筆者も最近、自宅のガス台が故障して、急ぎ購入することになったのだが、正直、スペックと値段の関係がどうにも分からない。
天板がガラス素材でキレイだったり、グリルが多機能だったりはするが、その価値が価格に見合うものなのかが、判断できなかった。
結局は、店員さんから売れ筋を聞き、いくつか挙げてもらった機種の中から、最低限欲しいスペックとコストで決めた。
ガス台とクルマでは、価格が20倍以上違うが、このような感覚なのだろうと、筆者は理解した。
プリウスが売れるからこそトヨタは生き生きできる
昨年秋に開催された東京モーターショー2019は、前回より7割増の130万人が来場し、先日開催された東京オートサロン2020も33万人と過去最多を記録、やっぱり日本人には車好きが多いと感じた。
クルマ業界人としては心躍ることであるが、一方で、「クルマには興味はないが必要だから買う」という方も多いということは、知っておくべき事実である。
さらには、こうしたトヨタの利益の土台を下支えしてくれるクルマがあるからこそ、スープラ復活や、GRヤリスの開発、耐久レース参戦、F1へのチャレンジができることも知っておくべきことなのだ。
まとめ
2019年12月単月の販売台数で、1位カローラ(9186台)、2位ライズ(9117台)に続き、プリウスは3位(5776台)にランクインした。
今年発売された話題のクルマたちがひしめく中でも、しっかりと3位に食い込んでくるというプリウスの脅威的な強さは、どのメーカーもマネができていない。
今年も、各自動車メーカーから、様々なクルマの発売が予定されている。このプリウスの存在を脅かすクルマが登場し、クルマ業界が大いに盛り上がることを期待している。
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