オデッセイ、シビックも栄枯盛衰 ホンダの名門車が凋落した分岐点

オデッセイ、シビックも栄枯盛衰 ホンダの名門車が凋落した分岐点

 最新のメーカー別国内販売は、1位がトヨタで2位がホンダだ。ホンダの売れ筋車種は、2010年頃まではコンパクトカーのフィットが中心で、ミニバンのフリードとステップワゴン、軽自動車が脇を固めていたが今は状況が変わった。

 N-BOXが圧倒的に多く、特に2019年は、国内で売られたホンダ車の35%がN-BOXになり、軽自動車全体では50%を占める。

 一方、かつてホンダの国内販売を支えた「オデッセイ」、「シビック」、「アコード」の名門3車は売れ行きを下げた。2019年の月販平均台数は、オデッセイが1200台でN-BOXの6%。シビックは平均900台で同4%、アコードは90台で同0.4%に留まる。

 ホンダの名門3車はいつから売れなくなったのか、その“ターニングポイント”を探る。

文:渡辺陽一郎
写真:HONDA

【画像ギャラリー】ホンダの名門 衰退に向かった当時と今のモデル


オデッセイの分岐点(2003年発売/3代目)

通算3代目モデルとして2003年に発売されたオデッセイ。1630mm以上あった従来型に対して全高を1550mmに抑えた

 オデッセイは1994年に誕生。全高を1700mm以下に抑えたワゴン風のボディが人気を高めた。1995年には1か月平均で1万500台を登録しており、この実績は2019年に登録車販売1位になったプリウスと同等だ。

 1999年には初代の路線を踏襲して2代目に一新され、2000年も1か月平均で1万台を登録した。

 しかし、2001年に初代フィットが登場。人気は爆発的で、2002年には1か月平均で2万900台、つまり今のN-BOXと同等に売れたから、販売店のオデッセイを売り込む力が下がった。需要の一巡もあり、2002年の売れ行きは1か月平均で4400台となった。

 それでも当時の人気は中堅水準だったが、2003年発売の3代目で、売れ行きが大幅に落ちた。原因は天井を低く抑え(2WDの全高は立体駐車場を使いやすい1550mm)、ミニバンらしさが薄れたことだ。

2代目イプサム(2001-2010)

 このフルモデルチェンジの背景には、ホンダとトヨタの競争があった。

 当時のトヨタはホンダのミニバンに対抗しており、2001年登場の2代目イプサムは、オデッセイを追撃すべく3ナンバー車になった。

 そこでホンダは渾身の低床プラットフォームを開発して、3代目をワゴン風のミニバンに仕立てたわけだ。当時の開発者は「トヨタでもこれほどの低床設計は実現できない」と胸を張っていた。

新開発の低床プラットフォームで低全高と広い室内、高い運動性能を両立したオデッセイ

 しかし、売れ行きは伸び悩み、2006年には3700台に下がった。2代目イプサムも売れず、販売合戦で共倒れになる悲劇を招いた。

 また、3代目オデッセイが低迷した背景には、2004年に背の高いエリシオンが発売され、需要を奪われたこともあった。2008年発売の4代目も変わり映えが乏しく、2009年の1か月の売れ行きは1500台程度であった。

 そして2013年に5代目の現行型が発売された。車名は知名度の高さでオデッセイとしたが、後席側にスライドドアを備えたフラットフロア構造のボディは、エリシオンの流れを汲む。

 だが、2008年には2代目アルファードと初代ヴェルファイアが登場して絶好調に売れており、オデッセイの2014年月販平均は2700台だ。その後に持ち直すことはなかった。

 以上のようにオデッセイのターニングポイントは3代目だ。ミニバンのストリームやエリシオンの追加、フィットの大ヒットなども、売れ行きを下げる原因となった。

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