残価設定ローンが人気なのも定額制に慣れたから!?
最近利用者の増えた残価設定ローンは、この意識変化で普及した。200万円のクルマで3年後の残価が90万円であれば、3年間で価値が減る110万円を返して、クルマは返却し、再び新車で3年間の残価設定ローンを組む。
以前なら「早くローンを返して自分の所有にしたい」と考えたが、今は一定の金額を払い続ける(つまり借金の返済を続ける)抵抗感が薄れた。
そして残価設定ローンでは、車両の価格差が開いても、返済額にすると少額に感じられる。
例えば5年間の残価設定ローンを組んだ場合(5年後の残価率は36%とする)、250万円のグレードは月々の返済額が3万6500円、280万円のグレードは4万円だ。
現金で買う時に30万円の価格差があると選択に悩むが、月々の返済額の違いが3500円なら「エアロパーツやアルミホイールの付いた上級グレードにしよう」と考える。
このように毎月一定額を支払う定額制は、高額商品を売りやすい意味で、メーカーや販売会社にとって都合がいい。
根本的には昔流行した「1日コーヒー1杯の金額で手に入るんですよ」という売り込み方と同じ。
「サブスクリプションサービス」は新鮮でカッコいい感じもするが、仕組みと売る側が力を入れる思惑は、昭和の「1日コーヒー1杯の金額」と同じだ。
KINTOと残価設定ローンはどっちが得?
クルマを定額制で成立させるには、運営側の手間とコストを要する。税金や保険料を納め、定期的なメンテナンスも実施する必要があるからだ。
また定額制では、ユーザーの「愛車」に対する気持ちは期待しにくい。
「俺はレンタカーでも大切に扱う」という読者諸兄は、実は貴重なユーザーだ。粗く使われることも考えて、リスクを含んだ料金にする必要もある。これらが定額料金に上乗せされるから、使用料金が高めになることも多い。
そこで具体的に計算してみたい。
KINTOで一般的な「KINTO ONE」でライズ2WD・X・Sを借りた場合、月々に支払う定額料金は3万9820円だ。
このなかに税金、自賠責保険料、任意保険料(年齢条件等なし)、点検費用などが含まれる。定額料金の3年ぶんは143万3520円だ。
いっぽう、同じライズ2WD・X・Sで3年間の残価設定ローンを組むと(金利は年率6.8%)、月々の返済額は3万900円(1回は3万3393円)になる。
返済総額は108万3993円だ。KINTOに比べて34万9527円安いが、税金/保険/メンテナンス料金は含まれない。
そしてライズ2WD・X・Sの購入から3年間に要する諸費用は、購入時の税金と自賠責保険料(37か月)が約9万円、諸費用が5万円、購入後に納める自動車税が7万5000円、メンテナンスが5万円として合計26万5000円だ。
つまりKINTOの3年ぶんは残価設定ローンよりも約35万円高いが、この内の26万5000円は、税金・自賠責保険料・メンテナンス費用で埋まる。
保険が損得のカギとなる!?
そこで注目されるのが任意保険料だ。KINTOは先に述べたとおり「年齢条件なし」に加入している。この保険料はかなり高い。
従って若いドライバーが運転するために全年齢補償に加入したり、あるいは事故により自分名義で加入する任意保険の等級が下がっているユーザーは、KINTOのほうがトクをすることも考えられる。
逆に無事故期間が長く20等級まで進み、なおかつ本人限定などの条件を付帯するユーザーは、保険料を節約できるため、残価設定ローンのほうが安くなる可能性が高い。要は任意保険次第だ。
それでも金利負担のない現金購入よりも安くなることはない。トヨタ車で残価設定ローンを利用する時は、KINTOの利用と比べてみるといいだろう。
そして従来の専門業者によるカーリースは、リスクを高く見込んで料金を高めにしてきたから、KINTOのほうが安い。カーリース同士で比べれば、KINTOは割安だ。
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