BYDのハイエンドブランド「仰望(ヤンワン)」が誇るスーパーカー「YANGWANG U9 Track Edition」が、ドイツの試験場で最高速度472.41km/hを記録。世界初の量産型1200V高電圧システムと3000馬力超のモーターが生んだ新記録は、EVの限界を押し広げる歴史的瞬間でした。その革新技術と挑戦の意義を解説します。
文:ベストカーWeb編集部/画像:PRTimes
世界最速EV誕生! 驚異の472.41km/h
2025年8月8日、ドイツ北部にあるATP Automotive Testing Papenburg試験場で、BYDのプレミアムブランド「仰望(ヤンワン)」が新たな歴史を刻みました。スーパーカー「YANGWANG U9 Track Edition」が記録した最高速度は472.41km/h。電気自動車による世界最速記録の更新です。
記録を打ち立てたドライバーは、昨年も同じ試験場でEV最速を樹立したマルク・バッセング氏。「昨年が限界だと思いましたが、新技術が再び壁を越えさせてくれた」とコメントし、この挑戦の意義を強調しました。
3000馬力超+1200Vシステムが生む圧倒的パワー
このU9 Track Editionの心臓部は、3万rpmで回転する高性能モーターを4基搭載したe4プラットフォーム。総出力は3000PSを超え、1トンあたり1217PSという驚異的なパワーウェイトレシオを誇ります。
さらに注目すべきは、世界初の「量産型1200V超高電圧プラットフォーム」。これにより効率性とレスポンスが飛躍的に向上し、極限状態でも安定したパフォーマンスを発揮します。加えて、独自の熱管理システムが過酷な走行環境でも車両を保護。EVの常識を超えた走行性能を可能にしました。
安定性を支えるDiSus-Xと専用タイヤ
ただ速いだけでは世界記録は狙えません。YANGWANG U9 Track Editionには、BYD独自の「DiSus-Xインテリジェント車体制御システム」が搭載され、加減速やコーナリング時の車体姿勢を瞬時に最適化。高速走行時の安定性を飛躍的に高めています。
また、佳通タイヤ(Giti Tire)と共同開発した専用セミスリックタイヤが装着されている点も見逃せません。2024年の走行データを基に開発され、耐久性とグリップ性能を兼ね備えることで、世界最速アタックを支えました。
サステナブル・スーパーカーという提案
今回の記録が示したのは、単なる「速さ」以上の価値です。BYDは「環境性能と走行性能の両立」を掲げ、サステナブル・スーパーカーの新基準を提示しました。
「EV=環境にやさしいが退屈」というイメージは過去のもの。472km/hという数字は、EVがガソリン車を凌駕しうる存在であることを世界に知らしめました。
BYDはすでに日本市場でも「ATTO 3」や「SEAL」といった量産EVを投入していますが、今回の挑戦はブランド全体の技術力を裏付けるショーケース。今後、同社の技術が市販車にどうフィードバックされるのか、多くのEVファンにとって大きな関心事となるでしょう。
EVの未来を切り拓くBYDの挑戦は、速さと環境性能を両立する新時代の幕開けを示しました。


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