【軽セダン、着せ替え車、オープンSUV…】新ジャンルに挑戦するも散ったクルマたち

オープンSUV 

挑戦車:日産ムラーノクロスカブリオレ(2011年デビュー:日本未発売)

明らかにSUV史に名を残したムラーノクロスカブリオレ。オープン好きの北米でもそれほど売れず、日本への導入の要望は高かったが正規導入されず

 SUVは無骨なもの、ラグジュアリーなもの、ライトなものなど、個性的なモデルを作りやすいジャンルである。

 その中にはスペシャルティ系のものもあり、最近はクーペルックのSUVが増えているが、2代目ムラーノの北米仕様にはその上を行くオープンモデルのクロスカブリオレがあった。

 ムラーノクロスカブリオレは2代目ムラーノを2ドア化し、電動ソフトトップを持つという、エレガントかつラグジュアリーな雰囲気を持つモデルだった。

 しかし販売は振るわず、日本導入もなく、日本では販売されない現行の3代目ムラーノにもオープンの設定はない。

4ドアのムラーノを2ドア化しているのがポイント。全高も低くなり、ソフトトップを閉めた状態でクーペルックに仕上げられているのがわかる

 しかし現行モデルには今のところないが、レンジローバーイヴォーグの先代モデルにはムラーノクロスカブリオレの影響を受けたと思われるコンバーチブルがあった。

 日産ももしかしたらプレミアム性の高いインフィニティのSUVで同じことをしていれば結果は変わったのかもしれない。

軽自動車を拡大した3列7人乗り1BOXカー

挑戦車:スバルドミンゴ(1983年デビュー)
    スズキエブリィ+(1999年デビュー)→エブリィランディ(2001年デビュー)
    三菱タウンボックスワイド(1999年デビュー)

    ダイハツアトレー7(2000年デビュー)

軽1BOXをベースに3列シートの多人数乗車のパイオニアがスバルドミンゴ。コンパクトで扱いやすく自慢の4WDと組み合わせてそこそこ人気となった

 軽規格の中で室内空間を最大限に持つ軽1BOXカーはラゲッジスペースも四角く非常に広い。

 その点にも注目し、軽1BOXカーのサンバートライに1Lの3気筒エンジンを搭載し(当時のスバルの軽は2気筒)、3列シートの7人乗りの小型1BOXカーとしたのが1983年登場の初代ドミンゴである。

 初代ドミンゴはなんとか7人が乗れる室内空間に加え、当時のサンバーに対し全長で230mm、全幅も35mmしか拡大されていないというコンパクトさを生かした機動力の高さも評価され、なかなかの成功を納めた。

 1994年には初代モデルと同じ手法で2代目モデルに移行したが、3気筒エンジンの古さに加え、1998年に軽の規格改正があったこともあり、ドミンゴは二世代で残念ながら姿を消した。

ミニバンブームを機にドミンゴが構築した軽1BOXベースの多人数乗車の再ブームを狙って投入されたスズキエブリイ+&エブリイランディ(写真はランディ)

 1998年の軽の規格改正後の1999年から2000年にかけてエンジンの搭載位置こそリアとフロントシート下という違いはあったものの、ドミンゴと同じ手法で軽1BOXカーをベースに小型1BOXカーとしたのがエブリィ+&エブリィランディ、タウンボックスワイド、アトレー7である。

軽1BOXのタウンボックスを大型化したのがタウンボックスワイド。ただし拡幅はオーバーフェンダーで対処したので室内スペースは変わらず
軽1BOXベースの多人数乗車モデルで最後発となったのがダイハツアトレー7。トヨタブランドではスパーキーの名前で販売された

 この3台は登場後にホンダモビリオやトヨタシエンタといったコンパクトミニバンが登場したことで、より広く乗用車的なコンパクトミニバンの台頭でベースとなる軽1BOXカーのフルモデルチェンジを機に絶版となってしまった。

 この種のクルマはその是非はともかくとして、軽1BOXカーから全長こそ300mm程度ストレッチされているものの、全幅はほぼ変わらず、ホイールベースは共通という小ささで7人乗りを成立させていた技術力というか根性に驚く。

 また日本ではもうないジャンルだが、インドではスズキがこの4台と同じコンセプトのイーコをいまだに販売しているのを見ると、新興国などではまだ需要があるようで、この4台がやってきたことが間違いではないことを強く感じる。

マルチスズキはインドでエブリイランディをイーコとして販売。日本では需要がなくなったモデルだが、インドではまだまだ需要が見込めるようだ

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