トヨタが自動車製造の過程で生まれるシートレザー廃材をアップサイクルし、バッグや小物へと再生する新ブランド「Tsugi-Craft by TOYOTA UPCYCLE」を発表しました。クルマとファッションをつなぐ注目の試みです。
文:ベストカーWeb編集部/画像:PRTimes
廃材を「プレミアム」へ昇華するトヨタの挑戦
トヨタ自動車は、カーボンニュートラルへの取り組みの一環として「TOYOTA UPCYCLEプロジェクト」を推進してきました。その最新の成果が、2025年9月に誕生した新ブランド「Tsugi-Craft by TOYOTA UPCYCLE」です。
特徴は、自動車用シートレザーの廃材を「継ぎ合わせ」、新たなバッグや小物に生まれ変わらせること。これまでもアップサイクルといえば“エコ”や“カジュアル”なイメージが主流でしたが、トヨタはそこに「プレミアム」という価値を加えました。
日本のバッグ縫製工場による細やかな手仕事と、トヨタの工業製品づくりのノウハウを融合。まさに自動車メーカーならではの新しいクラフト文化の提案といえるでしょう。
「ツギ」に込められた想い
ブランド名の「Tsugi」には、
・素材を継ぎ合わせる
・技を受け継ぐ
・人と人をつなぐ
・未来へつなげる
といった多層的な意味が込められています。小さな端材を組み合わせて大きな面に再構築するパッチワークは、伝統的な生活の知恵と現代の技術が交差する象徴的なデザインです。
こうして完成するバッグやポーチは、耐久性に優れ、性別や年齢を問わず使いやすいデザイン。ファッション性だけでなく、クルマ好きにとっても「自分の愛車と同じ素材が第二の人生を歩む」という特別な価値を感じられるのではないでしょうか。
価格帯は決して安くはありませんが、それは「大量生産では作れない価値」への対価といえます。職人の縫製技術とトヨタの品質基準が交差したアイテムは、所有欲を刺激する唯一無二の存在です。
・15-Pouch Large(9万9000円)
・15-Pouch Medium(9万3500円)
・6-Pouch(6万4900円)
・15-Totebag(9万4600円)
・9-Handbag Large(9万9000円)
・9-Handbag Medium(9万3500円)
・Key Chain(7480円)
自動車ファンとファッションをつなぐ試み
注目点は、「クルマを中心としたモノづくり文化が、ライフスタイルへ広がっている」ということです。
これまでも自動車メーカー発のライフスタイル商品は存在しましたが、ここまで“素材そのもののストーリー”をデザインに組み込んだ事例は多くありません。特に、シートレザーはドライバーが日々触れてきた「クルマの記憶」を宿す素材。単なるサステナブル商品にとどまらず、愛車との新しいつながりを感じられる点が大きな魅力です。
さらにデザインは、Z世代クリエイターである一法師拓門氏率いるConcePione(コンセピオン)が担当。若い感性とグローバルな視点を取り入れることで、従来の「自動車ブランドの周辺商品」とは一線を画す存在感を放っています。
今後の広がりに期待
アップサイクルは手間がかかる取り組みでありながら、だからこそ新しい文化として定着する可能性を秘めています。トヨタの試みは、単なるバッグ販売にとどまらず、「循環をあきらめない」ものづくりの未来を示す象徴的な第一歩といえるでしょう。








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