進化を続けるタントの居住空間
タントも助手席に380mmのスライド機能を採用した。助手席を前端までスライドさせて前後のドアを開くと、後席の足元空間が大幅に広がり、なおかつピラーレス構造によってボディ側面の開口部もワイドに使える。
ベビーカーを抱えながら、助手席と後席の間にある広いスペースに乗り込み、車内で子供を後席のチャイルドシートに座らせる作業を行える。
さらに売れ筋グレードの運転席には、540mmのスライド機能を装着した。運転席を後端まで寄せると、子供をチャイルドシートに座らせた後、車外へ出ないで運転席に移動できる。この機能は雨天時などにメリットを発揮する。
このようにタントは、ピラーを内蔵してスライドドアの乗降性を向上させただけでなく、助手席も前側にスライドさせることで車内の作業性を高め、運転席への移動も容易にした。
間口の広いスライドドアから後席に乗り込み、さらに運転席まで移動する導線を引いたことで、センターピラーレス構造の利用価値を大幅に高めた。
そしてタントの1490mmに達する左側のワイドな開口幅は、福祉車両のウェルカムシートリフト車に発展させた時も威力を発揮する。
助手席が左側へ回転しながら外側にせり出し、乗降性を向上させる機能だから、開口幅がワイドであれば助手席の回転作動にも余裕が生まれる。
乗員のツマ先とドアの内張りとの間に十分な余裕があり、回転作動中に足が引っ掛かりにくい。
スライドドアに中央のピラーを収めた構造は、福祉車両に発展させる時など、効果的に使えるわけだ。今後も用途に応じて、センターピラーレス構造のボディが採用される。
もはやセンターピラーレスドアだけでは需要を牽引できない
タントの販売面でも、センターピラーレス構造はセールスポイントになっている。それなのにタントは、2019年に発売された新型車でありながら、販売ランキングでN-BOXを追い抜けない。月別の販売台数を見ると、スペーシアを下まわることもある。
それはセンターピラーレス構造だけでは需要を牽引できないからだ。特にタントは2007年に発売された2代目からセンターピラーレス構造を採用しており、4代目の現行型では新しい機能ではない。
また現行タントは先代型の欠点潰しを行って走行安定性や後席の座り心地を改善したが、デザインや各種の機能に目新しさが乏しい。
売れ行きを伸ばすには、十分なボディ剛性を確保した上で、右側にもセンターピラーレス構造を採用するなど注目される実用機能が求められただろう。
スペーシアギアのようなSUV風のモデルがあっても良かった。要はタントは全般的に地味で話題になりにくく、販売面でもN-BOXを抜けない。
ただしタントのような実用性が重視される軽自動車の場合、現時点で売れ行きの結論を出すのは早すぎる。
従来のタントのユーザーが、愛車の車検満了に合わせて着実に買い替えたり、他車のユーザーが同じく車検満了に合わせてタントに乗り替えることもあるからだ。
実用的なクルマは、発売直後の売れ行きが伸び悩む代わりに、時間を経過しても需要が下がらず堅調に売れ続けることも多い。
タントがそうなる可能性は十分にある。センターピラーレス構造も、飽きずに長く愛用される機能だから、タントの性格に合っている。
コメント
コメントの使い方ピラーレス・・・衝突安全性が劣るの一言。
ダイハツの会見を聞きましょう。