プロボックスが「現場」に選ばれる訳
トヨタの販売店には、どのようなユーザーがプロボックスを使っているのかを尋ねた。
「大きな荷物を積みたいお客様はハイエースを選ばれるが、少ない量の荷物を運ぶ用途ではプロボックスが喜ばれる。コンパクトな4ナンバーサイズのボディは、混雑した街中でも運転しやすい。
特にワンボックスボディに不慣れな初心者ドライバーには、ワゴンスタイルのプロボックスはコンパクトカーのように扱いやすいと好評だ。
ワンボックスバンに比べて重心も低いから、高速道路を走る時も安心できる。天井が高くないため、立体駐車場も使いやすい」
とセールスポイントを述べた。
そうなるとプロボックスは、販売会社にとって売りやすい商品なのか。
「昔はボンネットを備えたバンが数多く用意されたが、今は車種数が減った。5ナンバーサイズのステーションワゴンも少数派だ。そうなるとプロボックスは限られた大切な選択肢になり、需要も集まっている。お客様の大半が法人だから、定期的に乗り替えるため、売れ行きも安定している」とのことだ。
プロボックスは登録台数が突出して多いわけではないが、安定した需要が見込めるから、販売会社やメーカーにとって優良な商品になっている。
なぜマツダはファミリアバンをトヨタのOEMに?
また、マツダファミリアバンは、以前は日産からNV150ADのOEM供給を受けていたが、2018年にトヨタのプロボックスに切り替えた。トヨタとマツダが業務提携を結んだからだ。
そこまでしてファミリアバンを売り続ける必要があるのかと思うが、商用車ならではの事情も絡む。
仮にマツダがファミリアバンを廃止すると、ユーザーはプロボックスやNV150ADに乗り替える。1つの法人が数台のバンを使うこともあるから損失は大きい。
しかもファミリアバンがプロボックスに変更されると、トヨタの販売会社にとっては絶好のビジネスチャンスだ。売り込み方によっては、その法人が使うマツダ3(旧デミオ)をヤリスに変えたり、ボンゴをタウンエースバンに乗り替えさせることも可能になる。
つまりマツダの販売店から見ると、ファミリアバンを失えば、最悪の場合はその法人が使うすべての社用車を奪われかねない。顧客が流出する穴を塞ぐためにも、OEM車は必要だ。
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このような経緯もあり、OEM車を含めて、プロボックスは着実に売れている。
特に今はタウンエース&ライトエースがインドネシア製になって納期にムラが生じたり、コンパクトサイズのステーションワゴンも減っているから、プロボックスの重要性がさらに高まった。今後も堅調に売れ続けるだろう。
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