トヨタ プロボックスはなぜ売れ続けるのか? 日本の「現場」支えるバンの王者!!

トヨタ プロボックスはなぜ売れ続けるのか? 日本の「現場」支えるバンの王者!!

 発売から18年経っても人気根強く。ライバル続々消滅のなか、なぜ商用バンの王者「プロボックス」は売れ続ける?

 2002年に発売され、改良を重ねながら異例のロングランを続ける商用バン、トヨタ プロボックスが根強く売れている。2019年の年間販売台数は3万台超、月平均で2500台を超えるなど、商用車というクルマの性質や発売から18年あまり経過していることを考えると異例の売れ行き。

 ホンダやマツダ、三菱など多くの国産メーカーが同じワゴンタイプの商用バンを相次いで廃止するなかで、なぜプロボックスは支持されるのか? 開発者、現場の声も交えて検証した。

文:渡辺陽一郎
写真:TOYOTA、編集部、NISSAN

【画像ギャラリー】これぞプロの相棒!! プロボックス/サクシードを「商用車力」を見る!!


競合車は大幅減少! それでもプロボックスは堅調維持

2002年に発売されたプロボックス。2014年に大改良で刷新したが、モデルチェンジせず18年に渡って販売を続ける(写真は改良前モデル)

 今は「商用車」といえば、ワンボックスバンのハイエース、軽商用車のエブリイバンやハイゼットカーゴの印象が強い。ボンネットを備えたワゴン風の商用バン(昔はライトバンと呼ばれた)は、少数派になった。

 このなかで最も堅調に売れているのがトヨタのプロボックスだ。2019年にはノーマルエンジン車が2万3930台、ハイブリッドは6210台が登録され、両タイプを合計すると3万140台に達する。

 1か月平均で2512台だから、登録車に当てはめると、クラウンやハリアーと同等の売れ行きだ。

日産 NV150 AD。ウイングロードの商用版として長らくAD・ADエキスパートとして親しまれたが、2016年の改良でNV150 ADへと改名

 ボンネットバンの車種数は今では大幅に減り、プロボックスのライバル車は、日産NV150 AD(以前のADバン&エキスパート)のみになる。

 NV150 ADは、2019年に1万9414台が登録され、1か月平均なら1618台だ。この売れ行きはリーフと同程度で、日産にとって手堅く売れる大切な車種になる。

 そしてプロボックスにはサクシードという姉妹車車もあり、OEM車としては、ファミリアバンとしてマツダにも供給されている。ホンダも以前は商用バンのパートナーを用意したが、今は廃止されている。

なぜハイブリッド追加? 開発者明かす人気の理由

2014年のマイナーチェンジでデザインなど大幅刷新したプロボックス。2018年には商用車としては珍しいプロボックスハイブリッド(=写真)も追加

 根強い人気で注目されるプロボックスの発売は2002年だから、今では約18年を経過した。その間にフルモデルチェンジは一度も行われていない。

 しかし、改良や特別仕様車の設定は実施され、近年では2014年に比較的規模の大きなマイナーチェンジを受けた。

 外観に加えてインパネなど内装のデザインを改め、エンジンも刷新している。サスペンションの設定も変更した。2016年には衝突被害軽減ブレーキのトヨタセーフティセンスを装着して、2018年にはこの機能を進化させている。今では歩行者検知も可能だ。

 このあたりはライバル車のNV150 ADも進化しており、歩行者も検知可能な衝突被害軽減ブレーキを装着した。

 またプロボックスは、2018年の改良でハイブリッドも加えた。商用車でハイブリッドを選べることは、プロボックスの大切な特徴となっている。冒頭の登録台数では、ハイブリッドがプロボックスの21%を占めている。

 なお、もともとプロボックスは「カローラバン」の後継、サクシードは「カルディナバン」の後継として用意された経緯があり、以前はサクシードの全長はプロボックスよりも長かった。そこを2014年に共通化している。

プロボックスの室内。1Lペットボトルが置けるトレイやノートPCでの作業も可能なインパネテーブルなどビジネスシーンで使える装備を揃える

 プロボックスが好調に売れる理由を開発者に尋ねると、以下のような返答だった。

「プロボックスのようなボンネットを備えた商用車は、ワンボックスバンに比べると、運転がしやすく走行安定性の高いイメージがある。そのために長距離を移動する用途にも使われ、車内の滞在時間も長い。

 車内でパソコンを使って仕事をしたり、食事をすることもあるため、プロボックスでは内装の設備を充実させた。

 インパネに引き出し式テーブル、スマートフォンなどを差し込めるマルチホルダー、1Lの紙パックも収まるセンタートレイなどを配置している。車内をオフィスのように使っていただけるよう配慮した」と説明した。

 ハイブリッドはどのような理由で追加したのか。

「長距離移動の機会が多い場合、ハイブリッドであれば、当然ながら燃費を節約する効果が大きい。また、環境対策に力を入れている法人では、プロボックスのハイブリッドを使うことで、イメージアップを図ることもできる」

 環境対応に力を入れる法人は、社用車にプリウスやアクアを使うことが多い。同様のことがプロボックスハイブリッドにも当てはまるわけだ。

次ページは : プロボックスが「現場」に選ばれる訳

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