軽自動車界の2大巨頭であるスズキ、ダイハツが独走していたのは過去の話になりつつある。別にスズキ、ダイハツの商品力が弱いというわけではない。
最大の要因となっているのが日産、ホンダが数の見込める軽自動車に注力していることにある。
日産、ホンダが軽自動車の開発に本気になったことにより、軽自動車全体のレベルアップが果たされたことはユーザーにとっては歓迎すべきことだが、2大巨頭のスズキ、ダイハツが現状に甘んじるとは考えにくい。
日産&ホンダの本気に対するスズキ&ダイハツの次の一手について遠藤徹氏が独自ルートで入手したニューカー戦略情報をもとに考察する。
文:遠藤徹/写真:NISSAN、HONDA、SUZUKI、DAIHATSU、平野学、奥隅圭之、ベストカー編集部、ベストカーWeb編集部
【画像ギャラリー】すでにデザインが公開されている2020年登場のダイハツタフト&新型ホンダN-ONE
大躍進中の日産とN-BOXの強さが光るホンダ
軽自動車の商品ラインアップ強化と拡販攻勢で、日産とホンダが燃えている。日産は2019年3月28日のハイトワゴン「デイズ」のフルモデルチェンジに続き、2020年3月19日にはスーパースぺースワゴン「新型ルークス」を投入した。
両モデルとも新開発のプラットフォームにエンジン、駆動系、足回りを刷新し、商品力を大幅に向上させ、好調な販売推移を見せている。
デイズは2019年の販売実績(届出台数ベース)でスズキワゴンR、ダイハツムーヴを抑え、同ジャンルのトップセラーを奪還した。
続く新型ルークスも好調な滑り出しを見せており、ダイハツタント、スズキスペーシアを追撃している。今秋にはデイズベースの新型電気自動車を発売し、さらなる追い上げを画策しようとの構えである。
いっぽうホンダは2017年8月31日、主軸スーパースペースワゴンである「N-BOX」をフルモデルチェンジし、2019年7月18日にはハイトワゴンの「N-WGN」をフルモデルチェンジした。
N-BOXは月販1万5000台以上をコンスタントに販売し、それまで一貫して軽自動車のトップブランドだったダイハツタントを抜き、首位を独走している。
日産とホンダが軽自動車のシェアを拡大
これに対してダイハツはタントを2019年7月9日にフルモデルチェンジした。こちらもN-BOX同様にプラットフォームを次世代ダイハツのクルマ作りの考え方を導入した「DNGA」を採用、エンジン、トランスミッション、足回りなどを刷新して売り出した。
ところが月販台数でN-BOXを上回ったのは2019年11月だけで、現在までトップ奪還は成しえていない。
2019年12月23日には上級の「カスタムRS」を設定してアインナップを強化したが、N-BOXへの巻き返しは達成できていない。
ホンダは2020年9月にもN-BOXを現行モデル発売後3年が経過することから、ビッグマイナーチェンジし、さらなる商品ラインアップを強化し、引き離しにかかる構えだ。
N-WGNは電子制御駐車ブレーキの不具合が発覚し、2019年9月から一時生産をストップさせた。2020年1月下旬から問題を解決し再開させている。
生産を止めても受注活動は継続していたことから、バックオーダーは3万台もたまっていた。
このため今後しばらくは月販1万台規模の増産が続くことから、デイズを抜き同ジャンルであるハイトワゴンのトップに浮上する可能性がある。
さらにホンダは今秋の10月にも「N-ONE」をフルモデルチェンジする。こちらは対抗モデルが存在しない特殊なコンセプトを持つ。強いて言えばハイトワゴンと5ドアハッチバックの中間のモデルともいえる。
「従来モデルとほとんど変わらないエクステリアデザインを採用する」(首都圏ホンダカーズ営業担当者)といわれるが、N-BOX、N-WGN同様に新世代のプラットフォーム&基本コンポーネントを採用するので、商品性は最高レベルまで引き上げているはずである。
このように日産、ホンダの軽自動車における第3勢力はこうした一連の新型車展開でダイハツ、スズキのビッグ2を追撃、軽自動車販売で自社のシェアを拡大させ激しく追い上げているのが現状である。
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