インターネットを中心に、「ノーマルから(メーカー純正品ではない)車高調ローダウンサスに交換すると、衝突軽減ブレーキが効かなくなるらしい?」という噂が広がっている。
そんなバカなと思いつつも、妙に信憑性や説得力があるこの話、ならばとTEINと組んで国沢光宏氏&ベストカー本誌が実験しました!
文:国沢光宏 写真:平野学
ベストカー2017年5月10日号
ノーマルから車検対応ギリギリ、さらに尖った状況までテスト
今や自動ブレーキ(衝突軽減ブレーキ)は「あたり前」の装備になってきたいっぽう、「アフターマーケットのサスペンションに交換すると正確に稼働しなくなる」という話もネットを中心に出回っている。
「車高を変えたらセンサーの許容範囲から外れてしまう」と聞けば「なるほど」と思ってしまうだろう。
だが、現実的に考えると、走行中クルマは常に動いているし、乗員+荷物の搭載状況によって前後の車高だって変化していく。ある程度の「許容力」を持たせていると考えるが、今までテストしたデータはなく、ハッキリしない。
そんなことを元WRCドライバーでもあるTEINの藤本吉郎さんと話していたら「興味深いです。クルマとサスペンションは用意しますからテストしてみませんか?」ということになった。
打ち合わせの結果、テストは以下、5種類することに決定。
- 1) 当然のごとく標準サスペンション。
- 2) いわゆる車高調を付けて車検対応ギリギリの前後75㎜ダウン。
- 3) 極端な「前下がり」姿勢のため前を104㎜ダウン(前後車高差63㎜)。
- 4) 前後車高差72㎜という極端な「前上がり」姿勢。
- 5) TEIN推奨の前後50㎜ダウン。
といった具合。
気になるのは前後同じくローダウンした時の性能だろうが、自動ブレーキのセンサー性能に興味あったので極端な車高も試すことにした次第。
テスト速度はレーザー+カメラ式のセーフティセンスC装着のヴォクシーということで、トヨタがカタログに記載している上限速度の30㎞/hでターゲットに接近。自動ブレーキの稼働チェックを行う。
まずノーマルのダンパーから試す。当然のことながら、なんら問題なくターゲットの手前50㎝ほどで自動停車。
続いて車検対応ギリギリまで75㎜ローダウンさせる。標準と比べると明らかに車高は低い。
自動ブレーキが稼働しないとターゲット(発泡スチロール製。レーザーセンサーということで反射板付)にダメージを与えるため、まずは20㎞/hから行う。すると問題なく稼働。5㎞/hずつ車速を上げていくも、30㎞/hまで止まれました。
それじゃ、と極端な前下がり姿勢(前後の車高差は63㎜)で20㎞/hからテスト。意外なことにこれまた普通に稼働し、停止できた。
今まで普通に稼働したので、極端な前上がり姿勢は前後車高差を72㎜とし、さらに後部ラゲッジスペースに130㎏分の水タンクを積んでみた。
バーベキューセットやゴルフバッグ、キャンプ道具などを満載すると、これくらいか。
20㎞/hを省略して30㎞/hから始めたところ、稼働せずターゲットにドガン!!
あらま。
25㎞/hに落としたら、これまた稼働せず。20㎞/hでは稼働した。
試しに130㎏の水タンクを降ろしたら、何事もなかった如く30㎞/hまで稼働。このあたりがセンサーのボーダーラインだと考えてよさそうだ。
最後の推奨車高(前後50㎜ローダウン)はまったく問題なく稼働。
TEINのエンジニアの皆さまと一緒にテスト。かなり尖った状況も用意しました
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