もはやEV要らず!? 新型ヤリスHV 公道試乗でわかった驚異の燃費性能


 ついにデビューしたトヨタ・新型ヤリス。 今回は1.5Lガソリンエンジン車(Z・192万6000円)とハイブリッド車(G・213万円)を駆り、公道初試乗でその走り、そして燃費を軸にその実力を多角的にチェック!!! ホンダ フィット(クロスターハイブリッド・228万8000円)、VWポロ(TSIハイライン・275万9000円)とのスペック比較表も掲載!!!

【画像ギャラリー】驚異の燃費を記録!!! 新型ヤリス/ヤリスハイブリッド試乗の様子をギャラリーでチェック!!!!

※本稿は2020年3月のものです
文:鈴木直也/写真:ベストカー編集部/撮影:平野学
初出:『ベストカー』 2020年4月26日号


■燃費40km/L!!? コンパクトカーの、いやクルマそのものの“ゲームチェンジャー”になる?

 世界中を大混乱に陥れている新型コロナウイルス。我々の業界も例外ではなく、試乗会やレースなどのイベントがことごとく中止もしくは延期となっている。 

 そんな最中、今年最大の注目作といえるフィットとヤリスがほぼ同時デビューしたわけだが、ぎりぎりのタイミングで間に合ったフィットに対して、ヤリスは無念の試乗会中止。

 次善の策として、広報車個別貸し出しによる対応ということとあいなった。 

赤いヤリスがハイブリッドでシルバーが1.5Lガソリンエンジン搭載車。外観上の差異はパワーユニットの違いによるものではなく、グレードの違いによるもので、基本的にエンブレム以外の差はない

 しかし、転んでもただでは起きないのがベストカー。WLTCモード35.8km/LというヤリスHVのカタログ燃費を検証すべく、ライバルフィットHVとのコンボイで燃費テストを実施したのだった。

 向かったのは、三鷹をスタートして国道20号で都心を目指し、山手通り経由で練馬から関越で鶴ヶ島IC、そこから一般路で熊谷に至るというルート。

 これは、国交省所管の交通安全環境研究所がWLTC評価用に定めたコースで、我々のテストでもWLTCカタログ値との高い相関性が確認されている。

 で、そこで得られた燃費のデータだが、率直に言ってぶったまげました。

 セクター別の詳細なデータは下に掲載の表のとおりだが、トータル燃費31.9km/Lはともかく、一般道で40km/Lの大台に乗っちゃったのにはビックリ。

 特別なテクニックを使うことなく、ただ交通の流れに乗っているだけでこの数字が出るとは、驚異的としか言いようがない。

 もちろん、クルマの評価は燃費だけで決まるものではないが、この水準まで到達しちゃうと話は別。新型ヤリスHVは、自動車業界全体の電動化シナリオに大きな影響を与える“ゲームチェンジャー”となる可能性が出てきた。

 今、自動車メーカーが直面する課題といえばCO2削減。当面のハードルは来年EUで始まる走行1kmあたり95gというメーカー別平均CO2排出量規制だが、これが燃費に換算するとだいたい24km/Lになる。  

 これですら各メーカーとも四苦八苦しているわけだが、その先には2030年に60g/km(38km/L相当)というさらに高い壁が立ちはだかっていて、これは最低でも販売台数の2割以上をゼロエミッションのEVにしなければ実現困難と予測されている(だから欧州メーカーはEV化に必死なのだ)。

 しかし、ヤリスHVの35.8km/LというWLTCモード燃費は、目標達成まであと一歩。必要ならバッテリーをちょっと増量してPHEV化するもよしで、不可能とも思えた60g/km規制をクリアする潜在能力を見せつけているのだ。

ヤリスハイブリッドをドライブする鈴木直也氏。カッチリとした車体剛性の感じや、骨太感のある操舵フィールはドイツ車的。ソフトで優しい運転感覚を目指したフィットとは対称的で、両車の個性はみごとなまでに対極となった

「“ウェル・トゥー・ホイール”で考えると、ピュアEVでも実質50g/km程度のCO2を発電所から排出するわけじゃん?」
「日本の発電環境だとそのくらいっすね」
「だとするとさ、内燃機関ベースでこの燃費が出たら、もはやピュアEVにこだわらなくてもよくね?」
「200万円で買えて、充電も要らないですしねぇ」 

 これは、テスト現場でのボクと編集ウメちゃんとの会話だが、もし「EVはゼロエミッションとして計算する」というルールが見直されたら、電動化のシナリオが大きく変わってくること必至。

 そこに多くの人が気づいたら、ゲームのルールが変わる。ヤリスHVの燃費性能には、それだけのインパクトがある。

運転席は座面の収まり感もよくスッと座れる心地よいシート。後席は乗降時の足元スペースは狭く、ドア開口部頭上も狭い印象だが、座れば意外と快適

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