最も売れているSUV「UX」でも販売台数は月1000台あまり。日本でも販売する唯一の高級車ブランド、レクサスは本当に成功しているのか?
日本自動車販売協会連合会は、毎月車種別の販売台数ランキングを、上位50台まで発表している。
その最新データとなる2020年3月のベスト50に、レクサス車としては唯一「UX250h」が49位/1090台でランクインした。
ただ、このデータをどう受け取るべきか……。新型コロナ禍とはいえ、3月は1年で最もクルマが売れる月。穿った見方をすれば、UX以外のレクサス車は月1000台にすら達していないともいえる。
グローバルでは2019年に過去最高の販売実績を残したというレクサスは、本当に成功しているといえるのだろうか。以下、御堀直嗣氏が解説する。
文:御堀直嗣
写真:LEXUS、編集部
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国産セダン苦境のなかESが意外な健闘
レクサスは、成功しているのか? という問いに対し、答えは、着実に前進し、プレミアムブランドとして成功している、と私は考える。その理由を述べよう。
国内市場では、昨2019年の年間販売台数において、レクサスのSUV(スポーツ多目的車)である「UX250h」が、1万4409台を販売した。また、4ドアセダンの「ES300h」が1万1140台で、それぞれベスト50の42位と46位に位置している。
SUVのなかでは、トヨタ RAV4やマツダ CX-5に比べると3分の1以下や半分以下といった台数だが、UX250hの下にマツダ CX-3やCX-30の名がある。
なおかつ、UX250Hはハイブリッド車で、ガソリン車のUX200の数字は入っていないはずだ。UX200の台数もUX分として追加すればさらに増える可能性がある。
ES300hは、車種がハイブリッドひとつに絞られるので、2019年の年間販売台数はそのまま売れ行きを示しているといえる。同じFFセダンのトヨタ カムリは1万9221台で、その6割ほどにES300hは届いている。
ちなみに、他メーカーの日産スカイラインや、ホンダ アコードの名がベスト50に入ってきていないのだから、4ドアセダン離れがいわれる昨今、ES300hの売れ行きは評価できるのではないか。
BMWやベンツと比べたレクサスの売れ行きは?
レクサス車全体では、国内で昨年累計6万2244台が売れた。対前年比113.5%の伸びで、これは過去最高である。2018年は5万4867台だから、7377台の増加である。
この販売状況を、プレミアムブランドが多い輸入車の国内販売台数と比べてみると、どうであろう。
2019年の国内輸入車販売1位は、メルセデスベンツで6万6553台だ。2位はBMWで4万6814台。3位はフォルクスワーゲンで、4万6794台となる。4位は大きく離れてアウディの2万4222台で、BMWミニがそれに続いて2万3813台であり5位という順である。
ここにレクサスを当てはめてみると、メルセデスベンツに続く2位の販売台数を残したことになる。ことに大都市部では、最近BMWの姿をよく見かけると感じているのではないか。
同時にレクサスも増えてきたという印象があるだろう。しかし数字的には、35%近くレクサスの方が販売で上回っているのである。
さらに、近年の輸入車の販売動向を振り返ると、メルセデスベンツは2017年の約6.8万台から毎年のように販売台数を落としている。
BMWも、同じく2017年の約5.2万台から毎年台数を減らしている。アウディも、2014年の約3.1万台からじわじわと毎年落としての約2.4万台だ。
それらドイツ勢に対し、スウェーデンのボルボの伸びが顕著だ。またポルシェやジャガーなども、販売台数が一桁少ない水準だが、堅実に台数を伸ばしている。
比較的高価格帯の輸入車の状況全体から比べても、レクサスの伸びと販売台数の実績は、プレミアムブランドとして立派な数字ということができる。
あえていえば、メルセデスベンツやBMWの牙城を崩しはじめているとも考えられるのである。
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