レクサスは世界で売れているのか
世界へ目を転じてみても、レクサスは2019年に年間76万5330台を売り、対前年比109.6%の伸びで、グローバルでも史上最高の伸びを記録した。
ボルボも、昨年史上初の70万台超えの実績を記録。6年連続での最多実績更新であり、国内においても、近年のボルボの存在感の上昇は目につくところだ。
多くの消費者にとって、これまでプレミアムブランドといえば、メルセデスベンツやBMW、そしてアウディといったドイツ車を思い浮かべることが多かったはずだ。それらのメーカーの年間販売台数は、グローバルでメルセデスベンツとBMWは200万台超えだが、アウディは約180万台である。
英国のジャガーは約16万台、SUVのランドローバーは約39万台で、両車をあわせたジャガー・ランドローバーとしては55万台規模でしかない。
異色としては、電気自動車(EV)専門の自動車メーカーであるテスラの2019年の販売実績は約36.7万台であり、対前年比149.8%である。
メルセデスベンツとBMWはやや多めだが、世界的に見てもプレミアムブランドは年間数十万台~200万台あたりというのが普通であって、トヨタ車のような900万台などという数字は特別なのである。
歴史「浅い」レクサスの成長どう見る?
レクサスは、1989年に生まれたブランドだ。それから30年の時が流れた。トヨタの一部とみれば83年の永い歴史の上に立つが、世界へ向けた高級ブランドとしてはまだ歴史が短い。
ボルボを含め、海外のプレミアムブランドが100年前後の歴史を積み上げて今日があるのに対し、わずか30年で国内も世界的にみても、販売台数に遜色がないというのが、レクサスの急成長ぶりを示している。
ことに、2015年の4代目プリウスからトヨタが展開するTNGA(トヨタ・ニュー・グローバル・アーキテクチャー)の流れを汲むGA-L(グローバル・アーキテクチャー‐ラグジュリー)商品群が現れた2017年以降、レクサスの新車は従来以上の商品力を身に着けている。
1989年の初代レクサス「LS」は、異次元の静粛性と乗り心地を売りとし、その後の「GS」や「IS」は走行性能の高さを主張してきた。
だが、突出した特徴がある一方、総合的な調和に欠ける側面もあり、プレミアムと語るにはどこかに不満が残った。
しかし、現行のLS、UX、ESは、静粛性や乗り心地のよさに充分な走行性能を加味しながら、総合的な調和を印象深く伝え、全方位でプレミアム性を体感させるクルマに仕上がっている。スピンドルグリルを特徴とする外観の造形も、ようやく馴染んできたといえるのではないか。
世界的なプレミアムブランドのクルマは、価格だけでなく、社会的な印象や地位、性能、あるいは内外装の魅力など含め、優れた存在感を持つクルマたちである。
そしてレクサスも、それらのなかで堂々とプレミアムブランドとしての位置づけを、販売台数の実績含め国内外で示す存在になったのではないだろうか。
つまり、レクサスは成功しているのである。
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