昨年秋に、BMW、ついで日産が、日本を舞台に相次いで「高速道路でのハンズオフ」に先鞭をつけたのは記憶にあたらしいところ。
その先で目指すのは、完全な自動運転の実現。米カリフォルニア州での自動運転の試験状況や、メルセデス・ベンツが(結果としてひっそりと)発表することになった、Eクラスの大幅アップデートについてリポート。
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※本稿は2020年3月のものです
文・写真:ベストカー編集部
初出:『ベストカー』 2020年4月26日号
■トヨタは? アップルは? カリフォルニア州が自動運転の結果を発表
●ウェイモの王座は不動 アップルは11位に沈む
カリフォルニア州が、2019年に州内で行われた自動運転の企業別走行距離を発表した。下表を見てほしい。
首位は今年もグーグル系列のウェイモ。約230万kmを走り、先日、ステアリングのない実験車両を発表した2位クルーズに100万kmもの差をつけた。
ウェイモは昨年から大型トラックでも自動運転の実証実験を開始し、3月初旬には初の外部調達で2400億円という巨額の資金を集めた。そろそろ実際の市販車に技術を搭載してほしいものだ。
中国勢の動きだが、昨年9位と8位だったポニーAIとバイドゥがそれぞれ3位、4位に躍進した。ポニーAIは先日トヨタと資本提携したばかりだが、「アポロ」という自動運転OSの開発を進めるバイドゥを抜いたのは驚き。
そのほかを見てみると、一昨年、事故を起こしたウーバーが圏外へ脱落、代わりにライドシェアのライバル、リフトが7位にランクインした。
去年一躍3位に食い込んで注目されたアップルは今年になって振るわず、11位に。自動車メーカーとしてはメルセデス・ベンツが10位で最上位に入り、日産は18位、トヨタは22位という成績だった。
カリフォルニア州だけの結果だし、近年はシミュレーションも発達しているため、この結果がすぐさま技術の優劣を示すわけではないが、企業の勢いを知る目安としてとらえておきたい。
■Eクラスの運転支援がフルチェンジ級の進化
●ACCが高速の分岐や料金所での減速に対応
ところで、自動車メーカーとして最高位となる10位にはいったメルセデス・ベンツだ。ジュネーブショーの中止(2020年3月)には驚いたが、そこで発表予定だったメルセデス・ベンツEクラスのマイナーチェンジにもぶったまげた(結局ネットで公開)。
理由は運転支援システムの進化。「マイチェンでそこまでやるか?」というほどのグレードアップなのだ。今後のベンチマークになるかもしれないので紹介しよう。
まずアダプティブ・クルーズ・コントロール系だが、BMWが先鞭を付けた「渋滞中の高速道路でのハンズオフ」に対応した。
時速60km以下ならステアリングに触れることなく車線維持と先行車追従を行い、1分以内であれば停止・再発進も自動で行ってくれるというものだ。
それだけじゃBMWと変わらないが、Eクラスはさらに先を行った。道路標識や地図情報から、高速道路の分岐や料金所、ランナバウト式交差点、T字路などを判断し、自動でスピード制御を行うようになったのだ。
通信回線を通じて数分ごとに渋滞情報を取得することも可能になった。これにより渋滞末尾への接近や、流れの悪い区間を事前に察知して、ドライバーに知らせるのだ。
万一ドライバーが反応しない場合は、時速100kmまで自動で減速して予防措置をとるという(欧州の場合)。
ステアリングが静電式センサーを備えた点も大きい。ドライバーがステアリングを握っているという情報を、多くのクルマは舵角センサーから得ている。
しかしこれではわずかにステアリングを操作する必要があり、「まっすぐ走りたいのになぜ?」と思うことも多かった。静電式はステアリングに触れているだけでOKなので、煩わしさがぐっと減ったのだ。
●「マイナーチェンジで劇的進化」が今後は当たり前に?
Eクラスの運転支援はまだまだある。
走行中、斜め後方から来る車両を警戒するブラインド・スポット・アシストだが、Eクラスはこれを停車時まで拡張した。クルマを停めた時、後方から時速7km以上で人やモノが迫ってくると、ドアを開ける際に警告を発する。
縦列駐車を手助けするパークトロニック付きアクティブパーキングアシストは、クルマを真横から見た画像を生成できるようになり、前後の障害物把握がより簡単になった。より広い駐車スペースを検知する機能も備わったという。
緊急時のステアリング操作を補助する「アクティブステアリングアシスト」には、複数車線の高速道路で事故が起きた際、緊急車両のために道を開ける機能が搭載された。交通全体の安全を重んじるメルセデスならではの気配りといえよう。
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駆け足の紹介だったがEクラスの進化、いかがだったろうか。電子系装備の進化は速い。今後はこのEクラスのように、マイチェンで劇的進化を遂げるクルマが多くなるに違いない。
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