超名門商用車マツダ ボンゴ終了 89年続いた商用車独自開発からなぜ「いま」撤退?

100周年の節目に変わるマツダと商用車

現在はハイエースのOEMモデルとなっているマツダ ボンゴブローニイバン

 しかも、近年ではボンゴバンの登録台数が下がっていたから、乗り替え需要も少ない。こういった状況を考えると、タウンエースバン&ライトエースバンのOEM車が売れ行きを伸ばすことは考えにくく、ハイエースのOEM車となるボンゴブローニィバンで充分と判断される。

 ボンゴブローニイの荷室は3000mmと長く、4ナンバー車ながら荷室幅も1545mmと余裕がある。最大積載量は1250kgだ。実用性が高いので、ベースとなったハイエースは、国内で1年間に6万台近くが登録されている。月平均で5000台近い人気車だ。

 価格は従来型のボンゴが188万1360円~239万9760円、ボンゴブローニイバンは269万7200円~366万800円だから、後者を買うと予算も増やす必要が生じるが、積載性や実用性も大幅に向上する。

 また、最近は商用車市場における軽自動車の比率が増えた。商用車に限れば49%に達する。そして、軽商用車の57%がバンボディだから、軽商用バンは商用車の売れ筋カテゴリーだ。

 しかも軽商用バンに属するスズキ エブリイバンも、荷室長が1910mm、荷室幅は1320mm、最大積載量は350kgとなる。荷室長の数値はタウンエースバン&ライトエースバンの2045mmに近い。

 つまり、今の商用バンでは、軽商用バンとハイエースがあれば、大半のユーザーを満足させられるわけだ。

 そこでエブリイバンは、日産/マツダ/三菱にOEM供給され、製造するスズキも含めると乗用車メーカー8社の内で4社が扱う。ホンダは、独自に設計するアクティバンを廃止して、N-BOXをベースにしたN-VANに切り替えた。

 このように商用車の世界は軽自動車も交えて競争が厳しく、マツダは開発と製造から撤退することになった。

1966年に誕生した初代ボンゴ。商用車開発からの撤退は、「選択と集中」の一環、自社開発製品を減らすのは大きな「賭け」だが、新しいマツダの挑戦を応援したい

 今後のマツダの商用車は、ハイエースのOEM車になるボンゴブローニイバンと、エブリイバンのOEM車とされるスクラムバンが支えていく。

 マツダは、東洋コルク工業として1920年に創立されてから、今年で100周年を迎える。

 1931年には3輪トラックのDA型を開発して、3輪商用車の市場で今日に通じる礎を築いた。創立から1960年にマツダR360クーペを発売するまでの40年間、マツダは商用車メーカーであった。

 このような歴史に支えられたマツダが、100周年の今年、商用車の世界から静かに去っていく。それが未来に向けた新たな飛躍に繋がることを祈りたい。

【画像ギャラリー】自社開発車は残り僅か! マツダ 現行商用車(全6台)

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