新型ハリアー登場でトヨタ車同士の共喰い激化!! 敵は身内にあり

新型ハリアーとRAV4は共存可能!?

 新型ハリアーとエンジンやプラットフォームを共通化するRAV4もライバル車に入る。従来型のRAV4と、これをベースにしたヴァンガードなどに乗っているユーザーは、新車に乗り替えようとした時に新型ハリアーとRAV4で迷うことも考えられる。

 ただし新型ハリアーとRAV4を同じ位置付けのグレード同士で比べると、前者の価格が約35万円高い。新型ハリアーはRAV4よりも内外装が上質で、装備も少し充実するためだ。

2019年4月に日本で復活したRAV4は大人気。新型ハリアーはRAV4と主要コンポーネントを共用するが、キャラクターが違うため共存可能だろう

 従って一般的には価格を抑えたRAV4が割安に感じるが、前輪駆動の2WDを選びにくい。RAV4では低価格グレードのXを除くと、駆動方式は4WDに限られる。

 その点で新型ハリアーは、全グレードに2WDと4WDを用意した。4WD同士では新型ハリアーが35万円高くても、新型ハリアーの2WDとRAV4の4WDという比較なら、価格差は約15万円に縮まる。

 質感を重視するなら2WDの新型ハリアー、悪路走破力なら4WDのRAV4という選び分けも可能だ。

 このように見ると、新型ハリアーとRAV4は基本メカニズムを共通化しながら、共存も可能になりそうだ。互いに喰い合う面はあるが、車両の性格や雰囲気、ユーザーニーズが異なる。

新型ハリアーはプラットフォーム、パワートレーンなどをRAV4と共用するが、明らかにひとクラス上の豪華さと質感を持っている

トヨタの上級車が最も影響を受ける

 むしろ販売店のコメントにあったとおり、豪華さで共通する「新型ハリアーVSアルファード&ヴェルファイアVSクラウン」の競争が成立しそうだ。

 アルファード&ヴェルファイアの車内は、新型ハリアーに比べて格段に広いが、すべてのユーザーが多人数で乗車したり自転車を積むわけではない。

常時3列シートを使う必要がなく、2列目の余裕を手に入れるためにアルファード/ヴェルファイアを購入しているユーザーにとっても新型ハリアーは魅力的

 4名乗車が快適だから、アルファード&ヴェルファイアを選ぶ場合もある。そのようなユーザーなら、新型ハリアーでも満足できるだろう。

 重要なのは外観の存在感、1/2列目シートの豪華さ、乗り心地などだから、トヨタの上級車種はすべて新型ハリアーの影響を受ける。

クラウンはアルファード/ヴェルファイアに加え、新型ハリアーという強い競合車が出現することになる。セダンでは独り勝ち状態も安泰ではない

SUVが主力のレクサス車への影響

 今はレクサスもSUVが豊富だ。コンパクトなUX、ミドルサイズのNX、上級のRX、オフロードモデルのLXがある。この内、中心的なNXは、プラットフォームが従来型ハリアーと共通だ。ホイールベース(前輪と後輪の間隔)の数値も等しいが、NXの発売は2014年だから設計が古い。

レクサスの屋台骨であるNXは旧型ハリアーと主要コンポーネントを共用するSUV。設計が古いこともあり、ハリアーにユーザーが流れる可能性もある

 ブランド性に固執しなければ、NXの購入を考えていたユーザーが、エンジンやプラットフォームの世代が新しい新型ハリアーを選ぶことも考えられる。

 内外装の質感でも新型ハリアーがNXに見劣りすることはなく、身内同士の競争はレクサスも巻き込む。

レクサス車とトヨタ車の最大の違いはインテリアにあり、レクサスは素材、デザインへのこだわりが半端ではない。しかし新型ハリアーの質感も負けていない

次ページは : 新型ハリアーの他メーカーへの影響

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