アメリカにないクルマへの憧れ
話をいま(2020年)に戻そう。
ジェネレーションX(現時点で40~55歳)の彼らこそ、25年ルールの恩恵を受け、1990年代日本車をアメリカで購入しているユーザー層の中核だ。
25年ルールで第一人気となっているのは、やはり「スカイラインGT-R」だ。
アメリカには、ハコスカ(PGC10/KPGC10型)、ケンメリ(KPCG110型)、そしてR32、R33、R34までのGT-Rは正規輸入されていない。
ジェネレーションXにとっては、1990年代後半から2000年代前半に夢見たR32~R34を「大人買い」するのだ。
また、「S14シルビア」は1990年代当時、2.4Lエンジン搭載の「240SX」に日本から輸入した2Lターボ(SR20)にエンジンスワップするのが流行していたため、現在はスワップなしの現車としてS14への需要もある。
「80スープラ」は、1990年代当時の正規輸入車では日系チューニングカー最高峰だったため、需要がある。
そのほか、三菱「ランエボ」はアメリカではエボⅦから正規輸入のため、エボⅥ以前のモデルへの関心が高い。
1990年代後半からの日系改造車ブームが起こるまで、アメリカでの日系車コレクターの主流といえば日産「Z(フェアレティZ)」とマツダ「RX-7」だったが、これらモデルでも25年ルールの活用はあるが、ジェネレーションX向けの主流ではない気がする。
同じく、ドイツ車、フランス車、イタリア車などのコレクターでも25年ルールを使うが、日系改造車ブームとは直接的なつながりはなく、各国で急激な高値が付くまでの状況にはなっていない印象である。
25年ルールによるアメリカでの第二の人生
最後になるが、25年ルールについて、その実態をご紹介しておく。
ベースにあるのが、1988年に連邦運輸局が制定した「輸入車セイフティコンプライアンス法」という連邦法だ。その名の通り、セイフティ(保安基準)に対するもので、衝突安全に関する試験等を緩和するためものだ。
これに加えて、連邦環境局のよる排気ガス規制についても、年式の古いモデルに対する規制緩和措置がある。
そのうえで、アメリカでは全50州によって運輸と環境に対する独自の解釈があるため、連邦法と州法との解釈をどのように擦り合わせるかが課題となる。カナダにおける15年ルールもアメリカと同様の課題があると考えられる。
25年ルールが生まれたのが、たまたま1980年代後半。
結果的に、1990年代の日本の名車たちがアメリカで第二の人生を送ることになった。
コメント
コメントの使い方