新型エクストレイルはe-POWER&PHEV搭載!? 日本仕様の展望とSUV王者復活シナリオ

 2020年6月15日、北米日産は、フルモデルチェンジを受けた新型「ローグ」を発表した。今秋から発売が開始されるという。「ローグ」は、現在日本では「エクストレイル」として販売されているクルマだ。そのため、この新型ローグが、次期型エクストレイルとなるのは間違いないだろう。

 日産 エクストレイルは、2000年に登場して以降、これまで3代に渡って日本のミドルクラスSUV界を牽引してきた。2018年には、SUV 4WD販売台数でNo.1(自販連区分オフロード4WD国産車)にもなっている。

 しかし、2019年4月にトヨタRAV4が登場すると、その勢いは急激に弱まり、一刻も早い次期型登場が熱望されている。

 次期型エクストレイルは、競合他車を破り、再びカテゴリートップに返り咲くことはできるだろうか。

 今回、新型ローグについて明らかとなった情報をもとに、日本市場向けの「次期型エクストレイル」がどういった姿になるのか、そして王座奪還となるか、考察していく。

文:吉川賢一
写真:NISSAN、MITSUBISHI

【画像ギャラリー】次期エクストレイルの姿を大解剖! 日産 新型ローグ 全部見せます!!


順当に「正常進化」した新型ローグこと次期エクストレイル

北米で先行公開された新型ローグ。従来型のローグ/エクストレイルと比較するとシャープな顔つきとやや武骨でSUVらしくなったフォルムが印象的

 北米向けの新型ローグと日本向けの次期型エクストレイルで、パワートレイン以外で大きく変えることはないだろう。

 あるとしても、外国人好みのアクの強いフロントマスクを小変更する程度で、基本的なボディスタイルや主要装備、デバイス関連は、おそらくこのまま登場する。

 いまは日本市場向けに、新パワートレインを搭載するモデルを、急ピッチで開発しているのではないだろうか。

【表】国産ミドルSUVのサイズ一覧。従来型に対して全長が42ミリも短くなったローグ。一方、ライバルのRAV4やCR-Vよりは約40ミリも長い

 気になるボディサイズだが、従来型と比べて、全長は42ミリ短く、全幅は19ミリ広く、全高は8ミリほど下がった。

 モデルチェンジ毎に、拡大を進めるクルマが多いなかで、全長をこれほど短くしたのは珍しい。そのぶん、従来型の魅力であった荷室の広さが犠牲にならなければいいが、その辺りは今後明らかになっていくだろう。

北米は2.5Lエンジンのみだが日本仕様は燃費に優れるパワーユニットが必須

北米仕様の新型ローグ。パワートレーンに関しては2.5Lのガソリンエンジン搭載車一本となっている

 現時点、新型ローグのパワートレインは、改良された2.5Lのガソリンエンジンの存在が明らかとなっただけで、全部で何種類用意されるのか、など、全体像はまだ判明していない。

 ローグ向けとして確定している2.5Lガソリンエンジンの181ps/245Nmというスペックは、従来型より11ps/8Nmの上乗せとなる。

 ミラーボアコーティング、可変排気量オイルポンプ、統合された排気マニホールド、e-VTC吸気バルブなどの改良が施されているが、燃費とパフォーマンスの両面で、ハイブリッド車にはかなわない。

 しかし、従来型エクストレイルにある2.0Lエンジン(MR20DD型)+モーターのハイブリッドモデルは、デビューから5年目。当時はトップレベルの低燃費20.8km/L(2WDのJC08モード)を誇っていたが、現代の水準ではいささか競争力に劣る。

 また価格も、ガソリンエンジン仕様から約30万円アップと高額であり、その割には燃費の改善代が少ない。

現行型のエクストレイルハイブリッド。王者RAV4が競争力の高いHVやPHVを用意するだけに、e-POWERなど新たな電動ユニットの搭載は急務

 また、横置きエンジン向けに専用開発された、この1モーター2クラッチ方式のハイブリッドシステムは、エンジンだけを低燃費型へとスワップする改修をするとコストがかさむ。

 燃費改善代もさほど期待はできず、加速性能といった魅力性能を維持できるともいえない。このように、エクストレイルの従来のハイブリッドシステムの採用は、現実的ではない。

 筆者は、日本市場向けのエクストレイルには、この2.5Lガソリンエンジンに加えて「新型のe-POWER」、そして「プラグインハイブリッド」が追加登場するのではないか、と予想している。

新型エクストレイルのベースグレードはe-POWERと予測

6月に発売されたばかりの新型キックスも日本仕様はe-POWERに一本化。エクストレイルはひと回り大型なだけにどのような改良が施されるかにも注目

 e-POWER最大の魅力は、燃費改善代に対するコストパフォーマンスの高さだ。セレナの場合、ベースモデルの燃費16.6km/Lに対し、e-POWER化すると26.2km/Lへ、約58%も燃費が改善する。

 また、e-POWERは、日本の交通事情に非常に適している。日本の都市部では信号機や交差点が多く、郊外でも車速は60km/h程度、高速道路でもMAX120km/hと、海外に比べて速度域が低いため、e-POWERの恩恵を絶大に受けられる。

 逆に速度域が高い国では、e-POWERは不利となる。そのため、ローグには採用されないであろうが、エクストレイルにはもはや必須ではないか、と筆者は考えている。

 振動と騒音の少ない4気筒エンジン、かつ排気量2.0L以下であれば、e-POWERとの組み合わせで、パフォーマンスも充分に期待できるだろう。VCR(可変圧縮比)技術で、最も美味しい圧縮比にコントロールし、発電効率を上げることも考えられる。

 キックスが日本販売仕様をすべてe-POWERにしたように、エクストレイルも同様の戦略をとる可能性は濃厚だ。

 このエクストレイルe-POWERの発売時期は、北米市場のローグ発売が2020年秋のため、その半年後の2021年3月ごろではないか、と予想している。

三菱との協業でRAV4越えのPHEV投入も

2012年12月登場と7年以上経過しながらも一線級の性能を持つ三菱のアウトランダーPHEV

 そして、ハイエンドグレードには「プラグインハイブリッド」だろう。

 日産がアライアンスでタッグを組んでいる、三菱の「アウトランダーPHEV」は、プラグインハイブリッド世界累計販売台数No.1(2019年5月末時点)となるなど、今や世界中で認められているプラグインハイブリッド車(PHEV)だ。

 エクストレイルとアウトランダーで、PHEVシステムを共有できれば、開発費や量産コストの面でも、両者にとって大きなメリットとなる。

 PHEVといえば、先日RAV4 PHVが登場したが、これはかなりの強敵だ。バッテリー総電力量18.1kWh、EV走行距離は95kmと、アウトランダーPHEVを完全に上回ってきた(アウトランダーPHEVは総電力量13.8kWh、EV走行距離は65km)。

 しかし、バッテリーの量産技術から中古バッテリーのライフサイクルまで、2社の知識と経験をかけ合わせれば、RAV4 PHVを越え、史上最高のPHEVシステムを構築できるはずだ。

 筆者の予想は、総電力量20kWhでEV航続距離「100km」だ。ベンチマーキングが大好きな日産であれば、きっとこの数字にしてくるだろう。エクストレイルPHEVの発売時期は、北米ローグ登場から1年後の2021年秋と予測する。

新パワートレーン投入こそ日産・三菱復活へのシナリオ

GT-RのアテーサET-Sの開発実績も通じて生み出されたという「e-4orce」のテストカー

 この2つの新規パワートレインを量産車レベルまでもっていくのは、膨大な時間とコスト、そしてかなりの技術力が必要だ。しかし、崖っぷちにいる日産と三菱には、これをやるほか、道は残されていない。

 パワートレイン戦略を間違えれば、日産も三菱も、二度とトヨタの背中を見ることはできなくなるだろう。

 個人的には、アリアに搭載されるという電動車の4WD制御システム「e-4ORCE」にも注目している。日産も三菱も、4WD制御に関しては経験が長く、優秀な4WD制御技術を持ち合わせている。

 もし、次期型エクストレイルに、「e-4ORCE(本来は前後2基のモーターが必要)」の考え方を導入することができれば、RAV4 PHVの先をいくことだってできる。「このままで終われるか」という日産の言葉に期待している。

2020年7月発表予定の新型電動SUV、「アリア」(写真はアリアコンセプト)
2018年北米自動車ショーで世界初公開されたコンセプトカー「Xmotion(クロスモーション)」

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