新型エクストレイルのベースグレードはe-POWERと予測
e-POWER最大の魅力は、燃費改善代に対するコストパフォーマンスの高さだ。セレナの場合、ベースモデルの燃費16.6km/Lに対し、e-POWER化すると26.2km/Lへ、約58%も燃費が改善する。
また、e-POWERは、日本の交通事情に非常に適している。日本の都市部では信号機や交差点が多く、郊外でも車速は60km/h程度、高速道路でもMAX120km/hと、海外に比べて速度域が低いため、e-POWERの恩恵を絶大に受けられる。
逆に速度域が高い国では、e-POWERは不利となる。そのため、ローグには採用されないであろうが、エクストレイルにはもはや必須ではないか、と筆者は考えている。
振動と騒音の少ない4気筒エンジン、かつ排気量2.0L以下であれば、e-POWERとの組み合わせで、パフォーマンスも充分に期待できるだろう。VCR(可変圧縮比)技術で、最も美味しい圧縮比にコントロールし、発電効率を上げることも考えられる。
キックスが日本販売仕様をすべてe-POWERにしたように、エクストレイルも同様の戦略をとる可能性は濃厚だ。
このエクストレイルe-POWERの発売時期は、北米市場のローグ発売が2020年秋のため、その半年後の2021年3月ごろではないか、と予想している。
三菱との協業でRAV4越えのPHEV投入も
そして、ハイエンドグレードには「プラグインハイブリッド」だろう。
日産がアライアンスでタッグを組んでいる、三菱の「アウトランダーPHEV」は、プラグインハイブリッド世界累計販売台数No.1(2019年5月末時点)となるなど、今や世界中で認められているプラグインハイブリッド車(PHEV)だ。
エクストレイルとアウトランダーで、PHEVシステムを共有できれば、開発費や量産コストの面でも、両者にとって大きなメリットとなる。
PHEVといえば、先日RAV4 PHVが登場したが、これはかなりの強敵だ。バッテリー総電力量18.1kWh、EV走行距離は95kmと、アウトランダーPHEVを完全に上回ってきた(アウトランダーPHEVは総電力量13.8kWh、EV走行距離は65km)。
しかし、バッテリーの量産技術から中古バッテリーのライフサイクルまで、2社の知識と経験をかけ合わせれば、RAV4 PHVを越え、史上最高のPHEVシステムを構築できるはずだ。
筆者の予想は、総電力量20kWhでEV航続距離「100km」だ。ベンチマーキングが大好きな日産であれば、きっとこの数字にしてくるだろう。エクストレイルPHEVの発売時期は、北米ローグ登場から1年後の2021年秋と予測する。
新パワートレーン投入こそ日産・三菱復活へのシナリオ
この2つの新規パワートレインを量産車レベルまでもっていくのは、膨大な時間とコスト、そしてかなりの技術力が必要だ。しかし、崖っぷちにいる日産と三菱には、これをやるほか、道は残されていない。
パワートレイン戦略を間違えれば、日産も三菱も、二度とトヨタの背中を見ることはできなくなるだろう。
個人的には、アリアに搭載されるという電動車の4WD制御システム「e-4ORCE」にも注目している。日産も三菱も、4WD制御に関しては経験が長く、優秀な4WD制御技術を持ち合わせている。
もし、次期型エクストレイルに、「e-4ORCE(本来は前後2基のモーターが必要)」の考え方を導入することができれば、RAV4 PHVの先をいくことだってできる。「このままで終われるか」という日産の言葉に期待している。
コメント
コメントの使い方