新型エクストレイルはe-POWER&PHEV搭載!? 日本仕様の展望とSUV王者復活シナリオ

新型エクストレイルのベースグレードはe-POWERと予測

6月に発売されたばかりの新型キックスも日本仕様はe-POWERに一本化。エクストレイルはひと回り大型なだけにどのような改良が施されるかにも注目

 e-POWER最大の魅力は、燃費改善代に対するコストパフォーマンスの高さだ。セレナの場合、ベースモデルの燃費16.6km/Lに対し、e-POWER化すると26.2km/Lへ、約58%も燃費が改善する。

 また、e-POWERは、日本の交通事情に非常に適している。日本の都市部では信号機や交差点が多く、郊外でも車速は60km/h程度、高速道路でもMAX120km/hと、海外に比べて速度域が低いため、e-POWERの恩恵を絶大に受けられる。

 逆に速度域が高い国では、e-POWERは不利となる。そのため、ローグには採用されないであろうが、エクストレイルにはもはや必須ではないか、と筆者は考えている。

 振動と騒音の少ない4気筒エンジン、かつ排気量2.0L以下であれば、e-POWERとの組み合わせで、パフォーマンスも充分に期待できるだろう。VCR(可変圧縮比)技術で、最も美味しい圧縮比にコントロールし、発電効率を上げることも考えられる。

 キックスが日本販売仕様をすべてe-POWERにしたように、エクストレイルも同様の戦略をとる可能性は濃厚だ。

 このエクストレイルe-POWERの発売時期は、北米市場のローグ発売が2020年秋のため、その半年後の2021年3月ごろではないか、と予想している。

三菱との協業でRAV4越えのPHEV投入も

2012年12月登場と7年以上経過しながらも一線級の性能を持つ三菱のアウトランダーPHEV

 そして、ハイエンドグレードには「プラグインハイブリッド」だろう。

 日産がアライアンスでタッグを組んでいる、三菱の「アウトランダーPHEV」は、プラグインハイブリッド世界累計販売台数No.1(2019年5月末時点)となるなど、今や世界中で認められているプラグインハイブリッド車(PHEV)だ。

 エクストレイルとアウトランダーで、PHEVシステムを共有できれば、開発費や量産コストの面でも、両者にとって大きなメリットとなる。

 PHEVといえば、先日RAV4 PHVが登場したが、これはかなりの強敵だ。バッテリー総電力量18.1kWh、EV走行距離は95kmと、アウトランダーPHEVを完全に上回ってきた(アウトランダーPHEVは総電力量13.8kWh、EV走行距離は65km)。

 しかし、バッテリーの量産技術から中古バッテリーのライフサイクルまで、2社の知識と経験をかけ合わせれば、RAV4 PHVを越え、史上最高のPHEVシステムを構築できるはずだ。

 筆者の予想は、総電力量20kWhでEV航続距離「100km」だ。ベンチマーキングが大好きな日産であれば、きっとこの数字にしてくるだろう。エクストレイルPHEVの発売時期は、北米ローグ登場から1年後の2021年秋と予測する。

新パワートレーン投入こそ日産・三菱復活へのシナリオ

GT-RのアテーサET-Sの開発実績も通じて生み出されたという「e-4orce」のテストカー

 この2つの新規パワートレインを量産車レベルまでもっていくのは、膨大な時間とコスト、そしてかなりの技術力が必要だ。しかし、崖っぷちにいる日産と三菱には、これをやるほか、道は残されていない。

 パワートレイン戦略を間違えれば、日産も三菱も、二度とトヨタの背中を見ることはできなくなるだろう。

 個人的には、アリアに搭載されるという電動車の4WD制御システム「e-4ORCE」にも注目している。日産も三菱も、4WD制御に関しては経験が長く、優秀な4WD制御技術を持ち合わせている。

 もし、次期型エクストレイルに、「e-4ORCE(本来は前後2基のモーターが必要)」の考え方を導入することができれば、RAV4 PHVの先をいくことだってできる。「このままで終われるか」という日産の言葉に期待している。

2020年7月発表予定の新型電動SUV、「アリア」(写真はアリアコンセプト)
2018年北米自動車ショーで世界初公開されたコンセプトカー「Xmotion(クロスモーション)」

【画像ギャラリー】次期エクストレイルの姿を大解剖! 日産 新型ローグ 全部見せます!!

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