話題のガソリン「基礎の基礎」 そもそもハイオクとレギュラーの違いって?

「オクタン価が高い」ハイオクは何が良い?

エンジンの燃焼イメージ。ハイオク仕様のクルマに“燃えやすい”レギュラーガソリンを使うと、ノッキングの遠因にもなるという

 例えば、勾配の大きな上り坂での加速など、エンジンの駆動力に対して負荷が大きいと、アクセルを大きく踏み込んでもエンジン回転が上昇しにくい。その状況で、エンジン内部にどんなことが起きているか、想像してみてほしい。

 エンジンを制御するECU(コンピュータ)は、エンジン回転を上昇させるために加速増量として、燃料の噴射量を多めにする。ところがエンジンの駆動力が足りず回転が上昇していかないと、単純に燃料が濃い状態が続いて、まるで始動直後のような燃えやすい混合気で回転し続けることになる。

 すると本来、ベストな燃焼状態になることを想定してスパークプラグが点火しているのだけれど、燃えやすいから想定より早く燃え広がってしまうことになる。

 これがノッキング(異常燃焼の一種)で、軽い症状であればエンジンを壊すほどの衝撃には至らないけれど、エンジンにはダメージとして蓄積するのだ、ECUはノッキングを回避するために点火タイミングを遅らせることになる。

 これの何が問題かというと、理想的な点火タイミングではピストンが上死点に近い状態で燃焼することで強力な駆動力を得ることができるが、点火タイミングを遅らせてしまうと、ピストンが下がり始めた状態で燃焼が始まるので、ガソリンの熱エネルギーを駆動力として回収できる割合が減ってしまうのだ。これは非常にもったいないことで、多くの熱エネルギーを捨ててしまうことになる。

 これを知ったら、ハイオク仕様のクルマに「安いから」という理由でレギュラーガソリンを給油してしまうのは、いかに愚かな行為であるか理解できるだろう。燃えやすいレギュラーガソリンを使うと、前述の上り坂での加速状態が、常に続いている状態になってしまうからだ。

レギュラーガソリン仕様車にハイオクは不要? 

レギュラーガソリン仕様車には燃料キャップの内側などに写真のような指定燃料が記されている。もちろんハイオク・軽油指定車も同様だ

 では、レギュラー仕様のクルマにハイオクガソリンを入れることにメリットはないのか? 理論上は清浄剤が入っていて汚れが付きにくい、というくらいしかメリットはないが、それは新車に近い状態での話だ。

 実際にはエンジンは走行状態によって燃焼室付近にデポジットやカーボン(燃えカス)が堆積することがある。これによってエンジンの圧縮比が設計状態よりも高くなってしまうこともある。

 そうなるとレギュラーガソリンではノッキングを起こしやすく、ECUが点火時期を調整している場合もある。ハイオクガソリンを給油するとエンジンの振動が減ってスムーズになる、と感じるようなら、それは燃焼室付近が汚れている可能性があるのだ。

 エンジンのために、デポジットやカーボンを減らすことを目的に、タマにはハイオクガソリンを入れて高速道路を30分以上クルージングしてやるような走り方をしてやった方がいいことを覚えておいてほしい。

【画像ギャラリー】スポーツ系以外も意外に多い! ハイオク指定の人気国産車

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