日産アリア アリやそれともナシや? 新生日産の今後を占う重要モデル!!

日産アリア アリやそれともナシや? 新生日産の今後を占う重要モデル!!

 2020年5月28日の決算会見の場で、日産は昨年の東京モーターショーに出展したEVコンセプト「アリア」を、2020年7月15日に発表すると明言した。

 ご存知のように現在、日産の経営状況は芳しくない。そんななか発表されるアリアを、日産は新たなフラッグシップと考えているフシがある。今回は、アリアがそれに足る魅力を備えたクルマなのか否か探っていく。

※本稿は2020年6月のものです
文/ベストカー編集部、木下隆之
写真/NISSAN
初出:『ベストカー』 2020年7月26日号

【画像ギャラリー】もうすぐ登場! 日産のイメージリーダーとなれるか!? 「アリア コンセプト」を詳しくチェック!!


■日産復活を告げる狼煙となるか!? 新たなEVクロスオーバー

 アリア最大の特長、それは前後に高出力モーターを搭載した電動4輪駆動であるという点に尽きる。

日産が送り出す新型EV「アリア」。コンセプトでは、全長4600×全幅1920×全高1630mmと、車幅はR35 GT-R(1895mm)よりも広く、全長はエクストレイル(4690mm)よりも短いサイズだった
寝かされたリアピラーが作るクーペ的な外観も魅力。21インチホイールが市販時にどうなるか

 モーター出力は明らかになっていないが、2019年試乗会が行われたリーフベースの電動4輪駆動試験車が、300psを超える出力を発生していたことから、アリアも同様の出力を確保していると思われる。この出力のモーターが見せる発進・加速性能が、そうとう高次元のものであることは想像に難くない。

 さらに優れているのがトラクション性能だ。GT-Rが積む「アテーサE-TS」、エクストレイルの「インテリジェント4×4」などの開発から得たノウハウをもとに、モータートルクやブレーキなどを統合制御する「e-4ORCE」というシステムを搭載する。高いライントレース性を実現し、どんな路面状況であってもドライバーは自信を持って運転できると日産は説明している。

「e-4ORCE(イーフォース)」はアテーサE-TS、インテリジェント4×4システムの開発実績を通じて生み出された電動駆動4輪制御技術の名で、当然アリアに搭載される。「多くのプレミアムスポーツに匹敵する安定したパワーとハンドリングを実現する」とは、日産による説明
「e-4ORCE(イーフォース)」はアテーサE-TS、インテリジェント4×4システムの開発実績を通じて生み出された電動駆動4輪制御技術の名で、当然アリアに搭載される。「多くのプレミアムスポーツに匹敵する安定したパワーとハンドリングを実現する」とは、日産による説明

 バーチャルパーソナルアシスタントによる情報提供といった、コンセプトカーが謳ったコネクテッド技術がどこまで実装されるかは未知数だ。だが、高速道路上でのハンズオフ走行を可能にする「プロパイロット2.0」の搭載は確実と思っていい。

 かように日産アリアには魅力的な性能が与えられている。新しさを感じさせる外観、スッキリとした内装など、見た目にも強い魅力を備える。ヒットする要素は充分に思えるが、はたして……。

インパネとドアパネルがシームレスにつながるスッキリとした印象のコックピット。ディスプレイモニターは12.3インチ

 2020年7月15日発表ゆえ、当然まだ試乗できない「アリア」。だが、その走りの片鱗を知ることはできる。アリアが搭載する電動駆動4輪制御技術、日産はそれを積んだリーフベースのテストカーに2019年10月、ジャーナリストを乗せていたのだ。いかなる走りを見せたのか。木下隆之氏に聞いてみた。

電動駆動 4輪制御技術テストカーのスペック
電動駆動 4輪制御技術テストカーのスペック

■LEAFベーステストカーに見る アリアの異次元ハンドリング(TEXT/木下隆之)

 リーフe+電動駆動4輪制御技術車の凄さはふたつ。ひとつはそのパワー。69.3kgmという怒涛の出力が炸裂すると、吐き気がするほどの加速を示す。だが、もっと感心させられたのはその操縦性だった。

 標準のリーフはフロント駆動だから、例えばウエット路面での旋回ではアンダーステアに陥ることがある。だが、4輪制御が加わるとアンダーステアが魔法のように消える。

優れたハンドリング性能以外に、[1]加減速でも揺れが少ない [2]雪道や雨の日でも運転を楽しむ余裕が持てるなどの効果があるという
1/10000秒という驚異的な速さで緻密にモーターを制御している

 といっても、スキッドコントロールで駆動力を絞っていのではない。フロントタイヤの旋回力が限界に達すると、そのぶんリアの駆動力を強めるのである。パワーを絞らないからもたもたすることなく、高い旋回速度をキープすることができた。

 いわばGT-Rが採用しているアテーサE-TSの応用だと考えればわかりやすい。GT-Rは後輪がスライドを始めた瞬間、駆動力をフロントに分け与えて安定性と加速性能を稼ぐ。このテストカーは、フロントが限界に達すると、フロントの駆動を抑え、リアの駆動力を高める。発想としては似ているのだ。

 ただし、ガソリンエンジンがパワーのやりくりで安定性を稼ぐのに対して、電気モーターは加えるだけだ。しかも、モーターの反応は圧倒的にガソリンに勝るから、制御は緻密である。コンピューターの指示したとおりの制御が可能なのである。これがアリアに搭載されたら、とんでもないことになるだろう。

次ページは : ■そろそろいこう最終結論 魅力充分 日産アリアは アリやそれともナシや

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