■新生代プラットフォームを採用 EVに特化したメカニズム
プラットフォームは、グループPSAで共有する新生代プラットフォーム「CMP」をベースに開発させたEV専用「eCMP」を採用。CMP開発段階から、EV化を見据えて開発されたことで、EVに最適な基本性能を備える。この新プラットフォームは、プジョーのEV「e-208」と共通ものだが、本国での開発と市販化は、こちらが先。グループ全体でも、DS 3クロスバックが初採用だという。
EVのパワートレインは、最高出力100kW(136ps)、最大トルク260Nm(26.5kgm)の高出力モーターを搭載し、前輪を駆動する。駆動バッテリーには、50kWhのリチウムイオン電池を搭載。航続距離は、320km(WLTCモード)。これは欧州でのコンパクトカーの1日の平均走行距離40kmを毎日走行しても、週1回の充電でカバーできる容量としている。
また走行モードを切り替えることで、モーター出力を変化。バランス重視のノーマルモードでは、80kW/220Nm(22.4kgm)を発揮し、エネルギー消費を抑えるエコモードでは、60kW/180Nm(18.4kgm)に抑制し、加速もゆるやかとすることで航続距離の拡大につなげる。もちろんスポーツモードを選択すれば、モーター出力を最大化できる。
回生ブレーキにも工夫が施され、2モードを用意。シフトレバーをDモードにすると、エネルギー回生を弱め、ガソリン車に近い操作フィールを実現。もうひとつのBモードでは、アクセルオフで積極的なエネルギー回生を行うことで、ワンペダル操作に近いEV特有の操作フィールを味わうこともできる。
充電については、3kW/15Aの200V普通充電ケーブルを標準搭載し、後部に設けられた専用ソケットに接続して行う。普通充電時では、約18時間で100%充電を完了するが、日常的な走行なら、50km走行可能な電力なら、4時間弱でOKとなる。また出力の高めた6kWのウォールボックス型普通充電器ならば、100%充電で約9時間。50km程度の電力なら、2時間弱で済む。
もちろん、日本で一般的な急速充電規格CHAdeMOにも対応。50kW出力タイプなら、約50分で80%まで回復することができる。また専用アプリを活用したリモートチャージングや遠隔でのエアコン操作なども快適なEVライフをサポートもある。
■同門EVプジョー「e-208」よりも高価だが……
新型EV「DS 3 クロスバック Eテンス」の価格は、エントリーモデル「ソーシック」が499万円で、上級グレード「グランドシック」が534万円となる。
ただソーシックは、ADAS機能が省かれるので、事実上は、ACCやトラフィックジャムアシスト、レーンキープアシスト、アクティブブラインドスポットモニターなどの先進の安全運転支援機能が充実し、DSらしい特別感のあるヘッドライト「DSマトリクスLEDビジョン」やヘッドアップディスプレイ、18インチアルミホイールなどの充実装備を誇る「グランシック」一択となるだろう。
やはりラグジュアリーブランドということもあり、価格は少しお高め。そうなると、同等のEVスペックを備えるプジョー「e-208」の存在が気になる人もいるはずだ。上級グレード「GTライン」なら、ADASなどの現代の定番装備をしっかりと押さえながら、価格は423万円とより身近だ。
しかし、グループPSAでも、DSはラグジュアリーブランドという位置づけだけに、しっかりとキャラクターや内容を差別化している部分もある。快適性や高級感、そして先進性ではDSにアドバンテージがある。
もっともキャラクターもしっかり異なり、ラグジュアリーコンパクトSUVの「DS 3クロスバック」に対して、プジョー208は、カジュアルスポーツ路線のハッチバックである。結果といて、得られる価値はことなり、両者が直接的にバッティングすることはないだろう。
国内外の各社は、電動化に積極的だが、コンパクトなラグジュアリーEVというのは、珍しい。「DS 3クロスバックEテンス」は、都市部のユーザーに加え、地方のセレブな奥様方には、サイズ感や内容も魅力的だと思われる。今後の活躍がEVの未来がより広げることになるかもしれない。
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