トヨタからRAV4が出て、ライズ/ロッキーがヒットし、ハリアーが注目を集め、2020年8月にはヤリスクロスが発売となる。
日産からはキックスが登場し、ダイハツからはタフトが発売、スズキのジムニーは今も納車待ち1年かかっていて、人気が衰える兆しは見えない。日本市場はSUV全盛期と言っても過言ではない。
そんな状況で思い出すのが、かつて「RVの代名詞」と言われたほど充実したラインアップを誇っていた三菱自動車だ。
パジェロを筆頭にしたRV(今でいうSUV)ラインアップは他メーカーから頭ひとつ抜け出ていた…はずだった。しかし、いま「SUVといえば三菱」というイメージは、正直いって、薄い。今からそうしたイメージを取り戻すのは難しいかもしれない。
しかし、たとえば往年の名車「パジェロミニ」だけでも復活させられないものだろうか。
パジェロミニはかつて日産にもOEM提供しており(「日産キックス」という車名で販売)、現在「NMKV」として協業している三菱と日産ならモデル開発もしやすいはず。
三菱、日産、両メーカーとも経営状況が厳しい現在、日本国内でしか販売が見込めない軽自動車の新規開発は難しいのは重々承知で、そうした提案はどうか、ファンは喜ぶのではないか、という説を、辛口で評判の自動車ジャーナリスト渡辺陽一郎氏に検証してもらった。
文:渡辺陽一郎、写真:三菱、日産、トヨタ、ダイハツ、スズキ
【画像ギャラリー】このまま復活させるだけでヒットするのでは…往年の名車パジェロミニ艶姿写真集
軽オフロードSUV パジェロミニの魅力
月別に集計される国内販売ランキングを見ると、コンパクトSUVのライズが好調に売れて上位に入っている。
今は安全装備の充実などに伴って、クルマの価格が全般的に上昇した。ミドルサイズのエクストレイルやRAV4では、大半のグレードが300万円を超える。
SUVは人気のカテゴリーだが、200万円前後の価格帯から探すと、5ナンバーサイズに収まるコンパクトなライズになるわけだ。割安な上に、運転しやすいメリットもある。
また最近はハリアーやMX-30のように、都会的なSUVが増えた反動もあり、オフロード感覚のSUVが注目されている。その意味でも野性的な外観のライズが人気を高めた。
そこで復活を望みたいのがパジェロミニだ。軽自動車のオフロードSUVで、初代モデルは1994年、2代目は軽自動車規格が今と同様に整備された1998年に発売された。
軽自動車でありながら、後輪駆動をベースにした4WDを搭載して、悪路で駆動力を高められる副変速機も備える。3ナンバー車のパジェロと同様、本格的なオフロードSUVであった。当時のライバル車はスズキジムニーだ。
2代目パジェロミニの1か月の平均届け出台数は、発売から10年を経過した2008年に942台だった。先代ジムニーも1998年の登場で、2008年の届け出台数は1か月平均で1246台だ。
パジェロミニは、ジムニーに比べると少ないものの堅調に売れたが、2013年に販売を終えた。それでも依然、人気は高い。
現時点で生産を終える直前に売られた2012年式パジェロミニが、中古車になって80~100万円を中心に販売されている。
新車価格が150万円前後のグレードが中心だから、届け出から8年を経過していることも考えると、高値安定型の部類に入る。今でもパジェロミニに魅力を感じるユーザーが相応にいるから、中古車価格も高い。
2012年式が80~100万円という中古車相場は、先代ジムニーにも当てはまる。現行ジムニーは今でも納期が約1年を要する人気車だから、パジェロミニも期待に応えるフルモデルチェンジを行って復活をさせれば、同様のヒット商品になる可能性がある。
コメント
コメントの使い方