■ポルシェ 718ケイマン対911(文:松田秀士)
ちょっと昔、ボクはスーパーGTの300クラスでボクスターGTを走らせていたことがある。実はこのボクスター、オリジナルとはまったく異なる作りで、前後ダブルウィッシュボーン式のサスペンションを採用していて、エンジンは911GT3Rのモノを搭載していたんだ。だから、速かった。ほとんど常にトップ争いをしていた。
このことが何を意味しているかというと、ケイマンはボクスターをクローズドボディにしたモデル。スーパーGTのボクスターもルーフを装備していた。つまり、空力性能と剛性を持っていたということで、このスーパーGT仕様のボクスターはケイマンの要素を多分に備えていたのだ。
そこに、ダブルウィッシュボーン式サスペンションと強力なエンジンがあれば、911以上の走りをする、ということになる。
しかし、ポルシェは絶対にケイマンのリアサスペンションにマルチリンク式(ダブルウィッシュボーン式の進化形)を採用しようとはしない。ちなみに、ダブルウィッシュボーン式はF1マシンの前後に採用されるほどの高級高性能サスペンションなのだ。
そこは、ポルシェが持つモデルヒエラルキー。911がポルシェのフラッグシップなのだから。
だから、ケイマンもボクスターも911には勝てない。
と、考えていたのだが718モデルの登場で事態は一変している。4気筒ターボエンジン搭載によって前後バランスが向上し、しかもターボパワーの余裕が走りに大きな変化を与えている。
逆に911は大きくなり過ぎた。911もターボ化による進化は見逃せないが、ケイマンの日本道路状況への適合性には及ばない。しかも、ケイマンはターボ化によってコーナリングとパワー面で大きく進化した。袖ヶ浦フォレストレースウェイのような、トリッキーでテクニカルなサーキットに持っていけば、みんなが目を疑うような2台の勝負が見られるはず。
結論:718ケイマンの勝ち
コメント
コメントの使い方