トヨタが「GR」の頂点に立つ3000万円級スポーツカーを開発中!?

トヨタが(レクサスではなく)「トヨタブランド」で、3000万円級のハイブリッドスポーツカーを開発している、というニュースがベストカー編集部に飛び込んできました。トヨタといえばレクサスにLC500h(Sパッケージで1450万円)があり、そのさらに上のモデルを市販めざして研究開発するなんて大それたプロジェクト、いくらなんでも考えづらいのでは……と本企画担当も思ったのですが、しかし断片的な情報を繋ぎ合わせていくと、おや……? これはもしかして……? と思えてきました。思えばトヨタ2000GTもレクサスLFAも、独自シャシーのフラッグシップスポーツ。トヨタが「GR」ブランドの確立のための旗艦として開発、市販することは、充分にあり得るシナリオでは。以下、スクープ班の取材結果と考察をお届けします。

文:ベストカー編集部

ベストカー2017年11月10日号


■「GR」発表会で、背後に写る謎のクルマ

トヨタが2017年9月19日に大々的に発表会を開催し、その立ち上げを宣言した「GR」ブランド。

「GR」とはGAZOO Racingの頭文字で、もともとはトヨタ本体では実行不可能なプロジェクト、活動を推し進めて行くディビジョンだったのだが、2017年4月1日の組織改編でトヨタ社内のカンパニーとして独立した存在となった。

ミドシップスポーツカーでモータースポーツのベース車にもなる

「Racing」と名付けられていることから、モータースポーツ活動が中心のように思う人もいるかもしれないが、モータースポーツ活動「も」するいっぽう、そこから得た知見をフィードバックした市販車両開発を進めていく社内カンパニーと理解すればいい。

カンパニー内にはスポーツカー開発部門が置かれ、今後トヨタ自動車が開発、市販するスポーティモデルは基本的にGRカンパニーが担当していくことになる。その立ち上げとして、ヴィッツGRMN、86GRなどに代表される既存の市販モデルをベースとしたコンプリートスポーツモデルをまずはリリースした。

前置きが長くなったが、このGRカンパニーが市販を前提に現在開発を進めているのがこの、本格的なスポーツモデルなのだ。

9月19日、お台場のメガウェブで開催された発表会の場で、友山茂樹GRカンパニープレジデントは、プレゼンテーション終盤、将来的な話として、

「まずはベースモデルをスポーティにチューニングしたコンプリートカーから始めるが、GRカンパニーとしての目標は専用プラットフォームのオリジナルスポーツカーを作り上げること」

と語った。この際、友山プレジデントの背後の大型モニターにはトヨタのWECマシンTS050(ル・マン24時間レースを戦ったマシンだ)の走行シーンが映し出され、CG画像で都市高速を走りながら市販型スポーツカーに変身していくシーンが映し出された。

当初は東京モーターショーに出品される「GR ハイブリッドスポーツコンセプト」かと思われたが、よく見るとデザインもコンセプトも違うクルマのようだ。これはもしや……?

会見中、巨大スクリーンに映し出されたスポーツカー

映し出されたのは一瞬だったが、明らかに東京モーターショーに出品された「GRハイブリッドスポーツコンセプト」とは別のクルマだった

■ライバルはポルシェやテスラ

この流れでは、友山プレジデントの発言は近未来の夢を語ったかのように受け止められるのだが、実はGRブランドのスポーツカー開発はけっして近未来の話ではなく、2020年を目標に市販化を前提とした正式プロジェクトとしてスタートしているのだ。

ベストカー本誌スクープ班は、このGRブランド発表会よりも前にトヨタ内部の、開発に関わる関係者から「GRで本格的なスポーツカーの開発プロジェクトがスタートしている」との情報を得ていたのだ。

この関係者の情報では、ベースとなるモデルはなく、プラットフォームから新開発する本格的なミドシップスポーツカー。パワートレーンについては、最終決定はされていないので、なんともいえないが、パフォーマンス系ハイブリッドが最有力。今後を見据えてピュアEVの選択肢もある、というもの。

まさか……!? と思っていたのだが、9月19日の発表会での友山プレジデントの発言と符合する点が多く、先の情報の信憑性が裏付けられたかたちだ。実際スポーツカー開発は動き始めているとみて間違いないだろう。

登場は恐らく2020年頃の見込み

パフォーマンス系ハイブリッドといえば、ポルシェ918のようなV8ガソリンエンジン+モーターというケースもあり、実現性は高い。ル・マンでの必勝を狙うWECマシンのTS050は2.4L直噴ツインターボ+モーターのハイブリッドで1000馬力超のパフォーマンス。GRとしては、スポーツカーレーシングマシンのTS050イメージが重なるハイブリッドを選択するのが自然だろう。

そもそもWECを戦うのは、ハイパフォーマンスハイブリッド技術を磨き上げるというのが本来の目的だ。さすがに市販モデルで1000馬力超はないだろうが、耐久性や現実的な扱いやすさを考慮すればポルシェ918同様700~800馬力級というところだろう。最大トルクは70kgm以上となるはずだ。

いっぽうでピュアEVの可能性もある。トヨタは一時テスラに出資していたが、その関連性はともかくとして、ハイブリッドで培ったモーター制御技術はトヨタの大きな財産。オプションとしてピュアEVを後に追加するという可能性にも期待したい。

■具体的な車両情報はまだ入っていない。しかし……

GRスポーツカーの具体的な詳細情報は、残念ながら現段階ではまだない。

ただ、先の関係者の話では、市販価格は3500万円程度を目標にしており、2020年、そう東京オリンピックの頃には具体的な「かたち」として世に出すという。おそらくはカーボンモノコックをベースにしたレーシングマシン開発のノウハウを活かした車体ということになろう。

GRカンパニーのカンパニーとしてのプロジェクトは始まったばかりだが、トヨタ自動車として蓄積した自動車開発力は絶大な力がある。

トヨタは50年前の1967年に2000GTを開発した時も、2010年にレクサスLFAを開発した時も、販売を度外視したような、しかもオリジナルシャシーのスポーツモデルを開発し、世に送り出している。

豊田章男社長が常に言い続けている「もっと楽しいクルマ」を具現化し、その象徴となるGRスポーツの開発状況をベストカーでは今後も注視していく。

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