高齢者社会で見直される !?日本メーカーが挑戦し続けた小さな高級車たち

トヨタプログレ

販売期間:1998~2007年

全長4500×全幅1700×全高1435mmの5ナンバーサイズ高級セダンを目指したプログレ。フロントマスクの個性が薄ければ結果は変わったかもしれない
全長4500×全幅1700×全高1435mmの5ナンバーサイズ高級セダンを目指したプログレ。フロントマスクの個性が薄ければ結果は変わったかもしれない

 21世紀が迫ったころ、トヨタは新しい価値観を持つ小粋なラグジュアリーセダンとスポーツセダンに興味を持ち、開発に着手した。

 平成になって消費税が導入されると3ナンバーの普通車が市民権を得ている。これは日本のファミリーカーが肥大化することでもあった。

 が、道路環境は大きく変わらないから、都市部の立体駐車場や建売住宅のガレージへの駐車には気を遣う。FF車を選ぶと、取り回し性もFR車のようにはいかない。

 そこで後輪駆動のアッパーミドルサルーン、マークIIをベースに、ダウンサイズしながらインテリアなどに高級ムードを散りばめた大人の4ドアセダンを開発し、送り込んだ。それがプログレとブレビスである。スポーティ派にはアルテッツァとヴェロッサを用意した。

 プログレは街中でも持て余さない小型車枠に収めた小さな高級車で、1998年5月に発売を開始している。全長は4.5mをわずかに超える長さに抑え、全幅も1.7mを切っているから狭い道や狭い駐車場でも扱いやすい。

 エンジンはマークIIやクラウンと同じ直列6気筒DOHCを搭載した。2.5Lと3Lエンジンがあり、トランスミッションは4速ATを採用する。

 クラウン並みの豪華装備を誇り、全車にパワーシートとリアセンターアームレスト、アルミホイールを標準装備した。

名前だけの高級車ではなく、クラウン顔負けの高級感溢れるインテリアが魅力的だった。インテリアへのこだわりは現在のレクサスに通じるものがある
名前だけの高級車ではなく、クラウン顔負けの高級感溢れるインテリアが魅力的だった。インテリアへのこだわりは現在のレクサスに通じるものがある

 頂点に立つウォールナットパッケージは本木目のインパネにレザーシートの組み合わせだ。また、ちょっとサスペンションを引き締めたスポーティなiRバージョンも設定する。

 運転しやすく、ゴージャスムードも強かったが、奇抜な顔のデザインが災いしたのか、マークIIや兄弟車のブレビスほど売れなかった。やさしさが求められる今の時代なら、当時よりも注目を集めたはずである。

プログレほどアクが強くない兄弟車のブレビスは、当時ミニセルシオと呼ばれた。プログレとともに質感の高さが魅力だった
プログレほどアクが強くない兄弟車のブレビスは、当時ミニセルシオと呼ばれた。プログレとともに質感の高さが魅力だった

日産ローレルスピリット

販売期間:1982~1986年(初代)、1986~1990年(2代目)

全長4050×全幅1620×全高1390mmのコンパクトセダン。本家ローレルが4ドアセダンと4ドアハードトップの設定だったのに対し、4ドアセダンのみの設定
全長4050×全幅1620×全高1390mmのコンパクトセダン。本家ローレルが4ドアセダンと4ドアハードトップの設定だったのに対し、4ドアセダンのみの設定

 1981年秋、当時の日産の最多量産車だったサニーがモデルチェンジし、FF方式のファミリーカーに生まれ変わった。B11の型式を与えられた5代目サニーは、発売から3カ月後の1982年1月に兄弟車を加えている。それがローレルスピリットだ。

 ご存じのようにローレルは日本初のハイオーナーカーで、違いがわかるアダルト層から絶大な支持を受けている。そこでローレルの弟分として日産モーター系の販売店に送り出されたのがローレルスピリットだった。

 エクステリアは4ドアセダンだけに絞り、フロントマスクやフェンダーミラー、ドアハンドルなどにメッキを多用してローレル風に仕立てている。また、背伸びしてツートーンのボディカラーも用意された。

 インテリアはサニーに準じている。だが、ステアリングはローレルと同じ高品質なものだし、シートも豪華なモケット地、ドアトリムも見栄えをよくした。

 メカニズムはB11型サニーから譲り受けているが、車格を重んじて1.3Lエンジンの設定はなく、1.5Lの4気筒だけだ。後期モデルではターボ車も登場する。

日本の小さな高級車と呼ばれるもので、唯一2代目モデルが存在するのがローレルスピリット。ツートーンカラーなど初代以上に高級感を増した
日本の小さな高級車と呼ばれるもので、唯一2代目モデルが存在するのがローレルスピリット。ツートーンカラーなど初代以上に高級感を増した

 サニーは1985年9月に6代目の「トラッドサニー」にバトンを託した。ローレルスピリットは1986年夏に2代目となっている。直線基調の端正なデザインを採用し、存在感の強いリッパなバンパーで差別化を図った。

 サスペンションは4輪ともストラットの4輪独立懸架で、パワーステアリングは全車に標準だ。エンジンは1.5LのE15系直列4気筒SOHCのほか、高性能な1.6LのCA16DE型DOHC、そして1.7Lのディーゼルがある。

 1987年には3バルブ化したGA15型エンジンやフルオート・フルタイム4WDも登場した。が、1980年代を最後に、静かに使命を終えている。

 運転支援システムをてんこ盛りし、快適性も高いゴージャスなコンパクトセダンは、高齢化社会になった今こそ望まれるのではないか!?

今となっては賛否両論あるだろうが、1980年代から1990年代にかけては、この手の高級感もユーザーから歓迎されていた
今となっては賛否両論あるだろうが、1980年代から1990年代にかけては、この手の高級感もユーザーから歓迎されていた

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