日本の自動車メーカーは飽くなき挑戦を続け、新たなジャンルを構築している。ミニバンなどはその典型例で、欧米のメーカーの追従を許していない。
しかし、日本の自動車メーカーがこれまでにいろいろ挑戦しながらも、大きな成果を残せていないジャンルがある。それは、小さな高級車と言われるジャンルのクルマだ。
1980年代以降、小さな高級車と呼ばれるいろいろな車種が登場しているが、ほとんどは単発で終わるという悲しい末路となっている。
日本人は小さなクルマが好きと言いながらも、小さな高級車は受け入れられてこなかったわけだが、高齢化社会になることで、小さな高級車というジャンルが見直されるかもしれない。
先が見えない今、そして高齢化社会に突入したニッポンに望まれるのは、地球にやさしく高齢者でも運転しやすい「小さな高級車」だ。
持て余さないし、快適性は上級クラスと何ら変わらない。今の時代なら、EVにするのも難しくないだろう。
本企画では、これまで登場しながらも苦杯をなめてきた小さな高級車たちにスポットを当てる。
文:片岡英明/写真:TOYOTA、NISSAN、HONDA、MITSUBISHI
【画像ギャラリー】小さな高級車の代名詞であるバンデンプラプリンセスってどんなクルマ?
トヨタiQ
販売期間:2008~2016年
2008年11月、トヨタが提案した新時代のスモールカーがiQだ。キャッチフレーズは「超小型ボディに卓越した性能を凝縮し、高い質感を備えたマイクロプレミアムカー」である。
全長は軽自動車と同じ3mを切るコンパクトさだった。全幅は1680mmあるが、小型車枠のなかに収めている。全高は1500mmだから大柄な人でも前席なら快適に座ることができた。4人乗りだが、後席は子ども用の空間だ。インテリアの質感も高い。
軽自動車並みのサイズだが、エンジンは1Lの直列3気筒DOHCと1.3Lの直列4気筒DOHCだから900kg前後のボディを軽快に走らすことができる。
トレッドは思いのほか広いから、キビキビした走りを味わえるだけでなく踏ん張りも利いた。当時は優れたパッケージングで、燃費もよい軽のハイトワゴンほどの魅力を見出せず、販売価格も高かったから一握りの人しか取り込めていない。
が、EVや軽自動車が注目を集めている今なら、欲しがる人は少なくないはずだ。愛らしいデザインなら女性層も取り込めるだろう。
コメント
コメントの使い方