2020年8月20日、満を持して予約開始となった新型レヴォーグ。ターボエンジン専用の国産ステーションワゴンというと、もはやレヴォーグしか選択肢がなくなっているのだが、もともと日本は快速ステーションワゴンの宝庫だった。本企画ではその系譜を辿る。
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※本稿は2020年9月のものです
文:永田 恵一、ベストカー編集部/写真:ベストカー編集部ほか
初出:『ベストカー』 2020年10月10日号
■なぜここまで少なくなったのか? 新型レヴォーグにみる「GT思想」
(TEXT/編集部)
今年(2020年)10月の正式発表を前に、8月20日から全国のディーラーで先行予約が始まった新型レヴォーグ。
8月末までにすでに5000台を突破しているとの情報もあり、新型コロナ禍にあってもその出足は非常に好調のようだ。
現在の国産ワゴンのラインナップは、新型レヴォーグ以外だと同じCセグのカローラツーリング、Dセグのマツダ6ステーションワゴン、Bセグのシャトルがあるくらい。
このなかで新型レヴォーグと若干ターゲット層や価格が重なるのは、2.5Lターボや2.2Lクリーンディーゼルを設定しているマツダ6ステーションワゴンだが、こちらはやや上級志向でもある。
新型レヴォーグの価格は最廉価グレードのGT(310万2000円~)、中間グレードのGT-H(332万2000円~)、最上級グレードのSTI Sport(370万7000円~)となり、最新の先進安全装備「アイサイトX」がつくEXグレードの場合、各グレードの価格に38万5000円が上乗せされる。
新型レヴォーグの心臓部には新開発のCB18型水平対向4気筒、1.8L直噴ターボ(177ps/30.6kgm)を搭載。
歴代レガシィツーリングワゴン、そして初代レヴォーグに脈々と受け継がれている「より遠くまで より快適に より速く」というスバルのGT(グランドツーリング)思想は、この新型レヴォーグにも色濃く継承されている。
初代同様、欧州の一部を除いた準国内専売車としての存在感を大いに示しそうだ。
■スバル以外にも快速ワゴンモデルは多く存在! 国産スポーツエステートモデル列伝
(TEXT/永田恵一)
日本車の快速ワゴン、というよりステーションワゴン自体、「レガシィ&レヴォーグの歴史」と言い換えても過言でないくらい、レガシィ&レヴォーグの存在感は大きい。
昭和の時代にも快速ワゴンといえるモデルは、ターボ車のブルーバードやスカイラインのワゴンなどがあった。
しかし、昭和のワゴンは商用のライトバンベースや力の入っていないものが多く、ワゴンとライトバンが混同されがちで、イメージがあまりよくなかった。
そのため、その頃日本で売れていたワゴンは5代目カペラカーゴワゴン(後ろ向きのサードシートがある7人乗り)とボルボに代表される輸入車くらいだった。
その流れを変えたのが平成最初の新型車でもあった初代レガシィである。新型レヴォーグのように「すべてが新しかった」初代レガシィは、セダンは地味なところも否めなかったが、ワゴンはスタイルがとても新鮮だった。
さらにレオーネから続いた長い経験による使いやすさやレガシィワゴンは乗用車専用だった点も後押しし、人気車に成長。
現代でいえばカングーやハスラーのような「新しい生活」を感じるクルマだったのだ。
さらにレガシィワゴンは登場した年にATもある4WDターボのGTを追加。燃費は悪かったが、レガシィのイメージリーダーとなり、「ワゴン=レガシィ、GT」というポジションを確立した。
新しいマーケットができただけに、他社も参入した。
しかし、ライバル車は部分的にはレガシィに勝っても、総合的に見たら当時のスバルにとって4番バッターだったレガシィに及ばす、レガシィと勝負できる快速ワゴンはとうとう現われなかった。
つまりレガシィワゴンは全盛期のスカイラインのような孤高の存在だった。
2000年代に入るとミニバンの台頭もあり、ワゴンの需要は大幅に減少し、レガシィのライバルも次々と消滅したが、それでもスバルが今に至るまで快速ワゴンを作り続けているのは本当に立派だ。
レガシィが2代目後期だった1990年代後半になると、ステージアをトップバッターにラージワゴンのジャンルも活性化し、快速モデルも多くのモデルに設定された。
しかしラージワゴンの快速モデルはステージアが成功したくらいであまりパッとせず、現在はジャンル自体が絶滅に近い状態となっている。
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