スバルレヴォーグ
価格:310万2000~409万2000円
新型レヴォーグには新開発の1.8Lターボが搭載された。デビュー時点でのエンジンはこの1.8Lターボのみ。
この1.8Lターボはそれほどパワーがあるわけではないため、パフォーマンス的にはスポーツカー的ではない。
しかし、乗り味、ハンドリングについてはスポーツカーをも凌駕するレベルの仕上がりとなっている。実際にクォリティという点では、従来のレヴォーグに比べて2クラスくらいアップしている。
ボクはボディ剛性そのものは重視していない。素材が鉄である以上、どうしても曲がる感じがあるからだ。しかし、新型レヴォーグについては、インナープラットフォームの採用によりボディが曲がる感じがまったくしない。このしっかり感はすばらしい。
そして足回りについては、ちゃんとストロークさせて曲がりましょう、ということを徹底している。
旧世代の人間の場合、スポーツカーの足はガチガチで、柔らかいアシはスポーツじゃないという感覚が根強く残っている。その考えの元で作られた国産スポーツカーもたくさん存在した。
しかし、現在のスポーツカーはストロークさせるのが常識となっている。その最たるものがF1マシンで、昔と違いストローク量はケタ違いなのだ。
レヴォーグはコーナリング時にスムーズにロールしてしなやかに曲がっていく。こんなしなやかなアシの日本車は初めてだ。
これまでにも乗り心地を重視した柔らかいだけのアシのクルマはあったが、レヴォーグはそれらとは一線を画す。
硬いからダメなことはあっても、柔らかいからダメということはない、というのがボクの持論で、柔らかいクルマはコーナリング中に切り足しがきくというメリットもある。
スポーツカーでもレーシングマシンでも速く走る、気持ちよく走るためにはタイヤをしっかりと使い切ることが重要になる。
アシが硬いとタイヤが跳ねてしまうのに対し、柔らかいアシではタイヤを路面に押し付けることができる。
新型レヴォーグは、デコボコな路面でもアシがしっかりと動くので、グリップを変化させずにコーナリングすることができる。
新型レヴォーグは新世代のスポーツカーのハンドリング、乗り味を持っていると言えるだろう。
VW T-ROC
価格:384万9000~453万9000円
T-ROCはT-CROSSがポロベースに対し、ゴルフをベースとしたクロスオーバーSUVで、欧州では2017年8月に販売を開始している。
ボクはワールドCOTYの選考委員をしていることもあり、欧州デビュー後試乗した時に、その走りの気持ちよさから、すぐに日本に導入してほしいと感じたモデルだ。
欧州デビューから3年遅れではあるが、2020年8月からようやく日本でも販売を開始。
T-ROCは欧州ではガソリン、ディーゼル合わせて6種類のエンジンが搭載されているが、日本で販売されるのはクリーンディーゼルの2LのTDIのみとなる。
T-ROCの走りで最もすばらしいのは高速走行における直進安定性だろう。おまけにロードノイズなどもしっかりと抑えられていて、室内の静粛性が高く、乗り心地もいい。
1590mmというクロスオーバーSUVとしては低い車高により、コンパクトSUVのなかではハンドリングもいい。背は低いが乗り込んで運転すると、アイポイントが高いため、SUVであることを実感できるのもいい。
ここまで書いた時点では、T-ROCは単なる快適なクロスオーバーSUVじゃないか、となるだろうが、前述のレヴォーグ同様に、現代のスポーツカーに必要なタイヤをしっかりと使いこなせるポテンシャルを持っているのだ。
足回りは前述のレヴォーグほどの柔らかさではないが、必要なぶんだけしっかりと動く。常にきちんとタイヤが接地しているので、コーナリングパフォーマンスが高くなると同時にドライバーに与える安心感も高い。
輸入車SUVはいろいろなタイプが登場しているが、走りの気持ちいい、質感の高いSUVとして覚えておいて損はないだろう。
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