若者を中心に、スポーツカーに憧れる人々が、以前よりも減りつつある昨今ではあるが、先日の「フェアレディZ」の新モデルのプロトタイプ発表は、各所で大きな話題となっていた。この盛り上がりぶりを、クルマ好きの皆さんは、喜ぶと同時に、懐かしく感じていたことだろう。
日本国内で、クルマが文化として盛り上がっていたのは、1970年代から1990年代だろう。中でも、90年代後半は、スポーツカーブームの集大成期であり、この時代に「イニシャルD」を読み、クルマへのあこがれを持ち始めた方も多いと思う。
そんな90年代後半に、特に人気だったクルマを5つ、ご紹介する。
文:吉川賢一
写真:MAZDA、NISSAN、TOYOTA、SUBARU、HONDA、MITSUBISHI、ベストカー編集部
【画像ギャラリー】頭文字Dに登場した90年代スポーツカーをギャラリーでチェック!!
マツダ アンフィニRX-7 FD3S (1991年~2002年)
ロータリーエンジンを搭載したピュアスポーツカーであり、クルマ好きの間で非常に人気が高い一台だ。低いアイポイントから覗くと見える長いノーズが、スポーティな雰囲気を演出している。
「イニシャルD」の主人公の一人である、高橋啓介が操るイエローのRX-7が有名で、劇中のマシンへと近づけるカスタムをする人が多くいた。最近では、名探偵コナンに登場する「安室透」というキャラクターがピュアホワイトのRX-7を乗っていたこともあり、その影響を受けて、中古車価格が上昇した、という話もある。
日産 スカイラインGT-R R34型 (1999年~2002年)
R32型に始まる第2世代GT-Rの最終モデルがR34型スカイラインGT-Rだ。8000回転以上回る高回転型のRB26DETTエンジンは、その回転フィールとサウンドが最大の魅力。頑丈なエンジン故にユーザーは思い思いのチューニングを施しては楽しんでいた。
映画「ワイルドスピード」の主人公役であったポール・ウォーカーが、劇中でも、プライベートでも乗っていた車であり、その影響もあって、R34型スカイラインGT-Rは世界に広く知れ渡るようになった。
現在は、中古価格が異常なほど上昇しており、良質なコンディションのモデルは、1000万円超の高価格が当たり前となっている。
トヨタ スープラ A80型 (1993年~2002年)
先代A70スープラに対し、丸みを帯びてグラマラスなスタイリングへと進化したのがA80型スープラだ。低いノーズや大型のリアウィング、ワイドなフェンダー周りなど、今見ても新鮮味がある。
3.0リッター直6ツインターボの2JZ-GTEエンジンは、500psを超えるチューニングにも耐え、カスタムユーザーも多くいた。
こちらも映画「ワイルドスピード」の初作にて、主人公が乗るマシンとして採用されており、劇中では最後まで大活躍をした。GT-Rと並んで、「ジャパニーズスポーツカーの代名詞」とも言えるほど、知名度が高い一台だ。
ホンダ インテグラタイプR (1995年~2001年)
インテグラタイプRといえば、このDC2型を連想するほど、強烈なインパクトでデビューしたモデルだ。3ドアクーペのDC2型と、4ドアハードトップのDB8型とあり、どちらも1995年に登場している。
200psのB18C型1.8L、直4 VTECエンジンは、200ps/19.0kgmを発生。1060kgという軽量ボディに200psのパワーは強烈に速かった。
8000回転まで回るVTECエンジンの凄さ、そして、サーキット走行に合わせて強化したサスペンションやボディなど、スポーツカー好きのホンダエンジニアが、ワイワイ楽しみながら開発をしたのが目に浮かぶ。
スバル インプレッサWRX STI (1992年~2000年)
最後は個人的な趣味だが、インプレッサWRXもあげたい。世界ラリー選手権(WRC)での勝利を目標に開発されたインプレッサWRXをベースにしたコンプリートカーが「WRX STI」だ。
1994cc EJ20型水平対向4気筒DOHCインタークーラー付きターボを搭載し、コンパクトなボディに4WDシステムを詰め込んだ。また、2リッタークラス最強の座をかけ、WRX STIのEJ20エンジンと、ランエボシリーズの4G63型ターボが、パワー(トルク)競争を繰り広げていたのも印象的だった。
1995から1997年にかけて3年連続でWRCマニュファクチャラーズタイトルを獲得したのを記念し、98年には「インプレッサWRカー」のイメージを忠実に再現したロードモデルとして、400台限定で「22B」が発売された。販売価格は500万円と、高額にもかかわらず2日で完売した。今ではどんなに欲しくても、手に入らない一台だ。