マツダ渾身の新技術「スカイアクティブX」厳しい実情と展望

ハイブリッドに対しての劣勢は否めない

 スカイアクティブXは今後どうなっていくだろう。

 基本的には「相当厳しいでしょうね!」

 というのもスカイアクティブXに超手強いライバルが存在する。ハイブリッドです。

2020年1月にスカイアクティブX第2弾としてCX-30に搭載された。販売比率などはマツダ3と大きく変わらず芳しくない
2020年1月にスカイアクティブX第2弾としてCX-30に搭載された。販売比率などはマツダ3と大きく変わらず芳しくない
スカイアクティブXのスペックは2LのスカイアクティブGと劇的には変わらない
スカイアクティブXのスペックは2LのスカイアクティブGと劇的には変わらない

 マツダはスカイアクティブXを開発するにあたり、「電気自動車は電気を作るところから考えたら環境にやさしくない。内燃機関は不滅だ!」と宣言した。

 その際の説明自体、電気自動車の効率を極端に悪くしたうえ、電気も旧式の火力発電の熱効率を使ったデータで全く納得できなかった内容だったが、何よりハイブリッド車との比較を避けていた。

 世界中で内燃機関を禁止する方向ながら、残るとすれば圧縮着火エンジンより圧倒的に実用燃費よく安価なハイブリッドでしょう。

 となると気になるのが「ハイブリッドに勝てるのか?」だと思う。

 まずスカイアクティブXのシステムを考えてほしい。エンジン本体は普通の直噴エンジンと同じレベル。そこに機械式のスーパーチャージャーや、リチウムイオン電池を使うマイルドハイブリッドシステム、黒煙防止フィルター、高価な触媒など高価なデバイス多数。

 CX-30に搭載されているのと同等クラスのトヨタ新世代2000ccハイブリッドはシステム出力184馬力。海外で先行デビューし国内でもレクサスUXから採用され始めたパワーユニットだ。

海外で先行デビューし、日本では2018年末のレクサスUXから採用された2L、直4DOHC+モーターは大きく進化している
海外で先行デビューし、日本では2018年末のレクサスUXから採用された2L、直4DOHC+モーターは大きく進化している

 CX-30と同等サイズのUXのWLTC燃費と言えば22.8km/Lで、CX-30の16.8km/Lを相手にしない。しかもCX-30は乗り方や道路条件ですぐ悪化します。

 使われているシステムと言えば、エンジン本体に簡単な構造を持つ2つのモーターと、簡易な動力配分機構、インバーター、走行用バッテリーのみ。

 いずれも大量生産されているため、大幅なコストダウンが可能になっている。複雑な構造の6速変速機やトルクコンバーターは不要。ハイブリッド、安くて燃費よくて性能もいい。

ハイブリッドの進化を凌駕できるか

スカイアクティブXは、非常に高価な触媒や補機類などが使われているため価格上昇。性能が劇的に向上しているわけではないため、費用対効果が低いと判断されている
スカイアクティブXは、非常に高価な触媒や補機類などが使われているため価格上昇。性能が劇的に向上しているわけではないため、費用対効果が低いと判断されている

 こう書くと「スカイアクティブXは生まれたばかりの技術で今後進化していく」と思う人もいるかもしれない。確かに性能の向上は可能かもしれない。

 けれどハイブリッドだって進化していく。ハリアーなど、新しい世代のハイブリッドになって実用燃費で20%向上。絶対的な動力性能だって10%以上よくなっている。

 そもそもマツダはスカイアクティブXの熱効率を発表していないが、数少ない情報によれば最大で43%程度らしい。

 ガソリンエンジンでは最高クラスの熱効率ながら、限られた使用条件と回転数、負荷の於けるものだという。トヨタのハイブリッド用エンジンは熱効率41%を実現しており、しかも41%で運用できる条件は数多い。

 間もなく日産が発表する新世代のeパワー用エンジンは、45%前後に達する熱効率を実現している模様。

 さらにハイブリッドの場合、大容量バッテリーに回生時のエネルギーを貯められる。

 さまざまな状況を考えると、スカイアクティブXに勝ち目はないように思えます。もしかするとマツダに起死回生の一手があるのかもしれませんが。

2021年のデビューが有力視されている新型エクストレイルには、新世代e-POWERの搭載の可能性が高い。その発電用エンジンの熱効率が凄い!!
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【画像ギャラリー】画期的なエンジンも現状のままでは厳しい!! 苦闘が続くマツダ3&CX-30のスカイアクティブ搭載車

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