■各タイヤメーカーの参入で今後はさらに競争激化
そんなわけで、一気にオールシーズンタイヤ人気が爆発的に広がったのです。当然横目で動向に注目していたライバルタイヤメーカーも競って参入。一気にオールシーズンタイヤの市場が出来上がったのです。
そう、各タイヤメーカーは、ドイツのオールシーズンタイヤバブルでオールシーズンタイヤをラインナップに加えたことで、いつでも日本でも売り出せる状態になったのです。
日本では依然としてスタッドレスタイヤが冬タイヤの主役でしたが、タイヤメーカーでは、非降雪地域のユーザーにスタッドレスタイヤは必ずしも必要でないというのもわかっているわけです。
ですからベクター4シーズンのユーザーの反応に注視しながら、オールシーズンタイヤ発売のタイミングを見計らっていたわけです。
それが2019年だったというわけです。とはいっても需要が高まってというよりは、各メーカーの牽制合戦が臨界点に達して、といったほうが正確な感じなので、これからさらに激しいシェア争いが始まることになりそうです。
■雪道で安心して使える? オールシーズンタイヤの性能
ところで、オールシーズンタイヤの性能はどうなのでしょう? 実はこれが、各タイヤメーカーが日本でいち早くオールシーズンタイヤを販売しなかった理由でもあるのです。
日本では冬タイヤといえばスタッドレスというくらいスタッドレスタイヤのイメージが浸透しています。世界的にみると日本のスタッドレスタイヤは氷雪性能に著しく特化したタイヤであるわけです。
そんなスタッドレスタイヤの感覚やイメージに慣れた日本のユーザーにオールシーズンタイヤを販売して、果たして正しく使ってもらえるのか。事故が頻発いてしまうようなことはないのか。そんなことを各タイヤメーカーは危惧していたわけです。ある意味とても良心的といえると思います。
言い換えると、スタッドレスタイヤとオールシーズンタイヤは、そのくらいの性能差があるということです。
端的に言ってしまえば、雪道での性能はエマージェンシー程度と考えておくのがいいと思います。少なくとも積極的に雪道に走りに行くタイヤではありません。
ただ、行った先で雪に降られても、怖い思いをせずに帰ってこられるくらいの性能は備えています。
冬用に近い、低温でも硬化しにくいゴムコンパウンドと雪のトラクション性能に優れたトレッドデザインによって、低温性能と雪性能を担保しているわけです。
ただ、凍った路面でのグリップは、吸水性能(撥水性能)や、より低温で柔軟性を発揮するゴムコンパウンドが必要なので、オールシーズンタイヤが不得意とする部分です。
■チェーン規制にも対応! オールシーズンタイヤは非降雪地域の有力な選択肢
一方、オールシーズンタイヤにつけられているスノーフレークマークは、日本においても冬タイヤと認められているので、高速道路のチェーン規制(チェーン装着が必須の規制もあります)でも通行することができます。
ですから非降雪地域住む人で、雪道に頻繁にいかない人であれば、オールシーズンタイヤは有力な選択肢の一つになると思います。
注意点としてもう一つ挙げておきたいのは、タイヤの摩耗についてです。オールシーズンタイヤだけでなくスタッドレスタイヤも、摩耗50%で冬タイヤとしての寿命は終わりです。
50%摩耗したところに冬タイヤ用のプラットフォームがつけられており、これが露出したら冬タイヤとしての寿命は終わりとなります。特にオールシーズンタイヤは夏も通して履いているので摩耗量には注意が必要です。
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