いまオールシーズンタイヤが増えている。つい数年前まで日本では、ほとんどのメーカーが夏用タイヤと冬用のスタッドレスタイヤしかラインナップしていなかったが、今やヨコハマタイヤ、ダンロップ、トーヨータイヤなどの大手が相次いで販売を開始。輸入ブランドのミシュランやピレリなども販売している。
なぜここ数年でオールシーズンタイヤが相次いで投入されたのか? そして、雪道で安心して使える性能を持っているのか? 解説します。
文:斎藤聡/写真:ベストカー編集部、横浜ゴム
【画像ギャラリー】夏冬兼用の「オールシーズンタイヤ」が急増。なぜタイヤメーカーは相次いで投入?
■オールシーズンタイヤ投入ラッシュの背景にドイツでの人気
昨2019年、オールシーズンタイヤが多くのメーカーからリリースされ、注目のアイテムになっています。その昔、オールシーズンタイヤは、夏はグニャグニャ、冬は硬くてグリップしない中途半端なタイヤという認識でした。
その印象をガラッと変えたのが2016年に日本で発売になったグッドイヤーの「ベクター4シーズン」です。
注目を集めたのは、冬タイヤとしての認証が、M+S(編注:マッド=泥+スノー=雪の略。双方の路面に対応していることを示す認証)だけでなく、通称スノーフレークマーク(スリーピースマウンテン・スノーフレークマーク)と呼ばれる欧州での冬タイヤ性能認証を取得していたことです。
2016~2018年の段階では、ライバルメーカーたちは興味津々で性能やユーザーの反応をうかがっている状態でした。
ところが、思わぬところから火がついて、オールシーズンタイヤの販売競争が勃発することになるのです。それはドイツでのオールシーズンタイヤ人気だといわれています。
さらに遡ること数年前にドイツでは夏用タイヤと冬用タイヤを季節に応じて使うことが法律で決まったのです。
そこにスノーフレークマークを取得したオールシーズンタイヤが登場。スノーフレークマークがついていれば欧州では冬タイヤと認められるので、ケチ(?)なドイツ人には渡りに船のタイヤだったわけです。
高速走行が普通に行われるドイツでは、冬タイヤといえども高速操縦安定性能は必須。サマータイヤ並みの操縦安定性を持っており、しかもスノーフレークマークがついているオールシーズンタイヤなら、夏用と冬用2セットのタイヤを持たなくて済むわけです。
もちろん性能面でも納得できるものだったというのも大きな理由の一つです。
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