スカイラインはV35以降大きく方向性を変えた。それを残念がっているファンは多い。これはもう走り云々ではなく、そもそも日本市場を軽視した姿勢に原因がある!
……などと強気なことを言っても、クラウンでさえSUV化が云々される時代だ。スカイラインが日本市場を軽視している! と叫んだところで、空しい。
なにせクラウンは日本市場専用に開発され、しかも現行モデルはスポーツ指向に大きくシフトした。その姿は一昔前のスカイラインに近い。
それが、トヨタの販売力をもってしても売れないのだから、スカイラインが原点に回帰したところで、無理があるのは想像に難くない。
しかし、それでも伝統あるスカイラインだ。もうちょっとなんとかならないだろうか?
文/清水草一、写真/日産、INFINITI、撮影/平野学、池之平昌信
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V35以降のスカイラインがファンの心に響かない原因は?
個人的には、V35以降のスカイラインが我々の心に響かない最大の原因は、デザインにあると考えている。
V35以降のスカイラインは、本来インフィニティG35(現行スカイラインはインフィニティQ50)。それにスカイラインのバッヂをつけただけで、それまでのスカイラインとはまったくつながりが感じられない。
V35およびV36のクーペに関しては、流麗でスタイリッシュなフォルムが美しかったが、主流のセダンはヌエ的に丸みを帯びた、正体不明のクルマにしか見えなかった。
そして現行スカイラインだが、これは先代のV36のフォルムをさらにくどくうねらせ、厚化粧を施したイメージだ。
現在インフィニティのデザインテイストは、この「くどい脂身テイスト」で統一されていて、数年前までは北米や中国でそれなりに人気があったが、日本では最初からさっぱり人気がない。フーガともども、このくどいデザインテイストは、日本人の好みとは真逆に近い。
ただ、2019年7月に実施されたビッグマイナーチェンジでは、日本市場向けにフロントグリルやテールランプを変え、日産エンブレムも復活して、スカイラインらしさをアピールしている。
フォルムはそのままだから小手先の変更ではあるが、できる範囲で頑張ったことは認めたい。実際、以前よりはスッキリしたイメージになっているし、スカイラインの面影もわずかに感じることはできる。
また、プロパイロット2.0を真っ先にスカイラインに投入したことも、日産がスカイラインを見捨てていない証左となった。
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