現在のスカイラインでベストといえる400R
プロパイロット2.0の機能については、法律の限界もあってそれほど魅力的には感じないが、プロパイロット2.0が搭載されない400Rのほうは、驚くほど魅力的なモデルだ。
とにかくV6ターボエンジンの「ドッカーン!」と炸裂するパワー感がスバラシイ。かつての「スカG」を思わせる、ちょっと野蛮なフィーリングが心に刺さる。それでいて低速トルクもたっぷりあり、ドライバビリティには文句のつけようがない。燃費が悪い(WLTCモード10km/L)のは当然だし、ご愛敬だろう。
400Rの電子制御ショックアブソーバー(インテリジェント ダイナミックサスペンション)は、驚くほどフワッとした乗り心地だが、コーナーではしっかり粘る。走りを忘れられないけれど、快適性も捨てられない中高年にとっては、最高に近い足回りだ。
ただ、1760kgという車両重量はどうにもならない。かつてのスカイラインとは比べようもないほど重いが、ドイツのスポーツセダンも同レベルにあり、時代を考えると、それを責めることはできない。
「5ナンバーのスカイラインが復活したら買うよ」と言うファンもいるかもしれないが、いまあえて小型FRセダンを開発するなんて、ドイツ勢含めどんなメーカーにも不可能だ。
つまり、現行スカイラインの、特に400Rに関しては、日産は国内市場のためにベストを尽くしたと評価するしかない。
それで販売は上向いたかというと、マイチェン直後の2019年9月は、久しぶりに月販1000台を超え(1066台)、前年同月比602%をマークしたが、以後すぐにほぼ元のペースに戻り、今年は10月までの累計で3397台と、前年割れしている。
むしろ、そんなわずかな台数のために(?)、かなりの投資をした日産に対して、申し訳ない気持ちさえ沸いてくる。
“俺たちの”スカイライン復活の道は?
今後、スカイラインが復活する道はあるのだろうか?
繰り返すが、クラウンですらSUV化されるかもしれない時代だ。スカイラインが国内専用セダンへ回帰するのは不可能。
インフィニティブランドの中型セダンをベースに、スカイラインの車名を冠する現在のカタチ以外、存続の道はないし、それすら危ういほど、世界のセダン離れは激しい。
デザインに関しては、インフィニティがベースにならざるを得ないから、日本人の好みを反映させるのは無理。ただ、インフィニティのデザインそのものが変わる可能性はある。
現在のインフィニティデザインは、主力市場の北米や中国でも、時代遅れになっている。世界の趨勢は、ああいったくどいデザインとは正反対のシンプル路線。日産もそれに追従する動きはある。
アリアや新型フェアレディZプロトを見ると、以前に比べてはっきりシンプル指向がうかがえる。
次期型のインフィニティQ50がどんなデザインになるか、現時点ではまったくわからないが、少なくとも現行よりは、シンプルでスッキリした形になるのではないか……と期待したい。あくまで期待ですが。
それをベースに、ディテールを和風(?)に変更し、400RのV6ターボが載れば、ドイツ勢に対抗し得る数少ない国産スポーツセダンになることは間違いない! と思いたい。
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