新東名「120キロ」今日から開始 なぜ日本の高速は長年100キロのままだったのか


なぜ今回、最高速度を正式に引き上げたのか

 では、なぜ今回警察庁は、最高速度の120km/hへの正式引き上げを行ったのか。

 その背景には、旧態依然とした警察の体質に対する、世間の厳しい目があった。不祥事の連発をきっかけに、2000年代に入ると警察の道路行政は徐々に柔軟になり、2009年からは一般道の制限速度見直しが行われ、「60km/h制限」の上限を超えて、70km/hや80km/h制限の一般道が誕生していた。

 最大の決め手になったのは、2013年に当時の国家公安委員長だった古屋圭司氏(衆議院議員)が、制限速度や取り締まり方法について「実態に合っていない」と発言したことだと考えている。

 国家公安委員会とは、警察庁を管理する内閣府の外局で、監督する立場にある。

 古屋氏の発言以来、渋滞の原因になっていた首都高のオービスがいくつか撤去されるなど、警察は変化を加速させているように見える。

6車線区間も多く、カーブも緩い新東名。120km/hを見据えた構想・設計は、約半世紀の時を経て結実した(画像提供:中日本高速道路)

 今回の最高速度120km/hへの正式引き上げは、「交通規制を実態に合わせる」というのが趣旨。新東名は最高速度100km/hの段階から、追越車線の平均速度は120km/hを若干超えており、それを試験的に110km/h、120km/hに上げても、平均速度は変わらなかった。

 今回の最高速度の引き上げは、設計速度120km/hという前提のもと、最高速度を実態に合わせて改正したということになる。

 では、将来的に140km/hもあるのか? と言われたら、おそらくそれはないだろう。速度を上げれば上げるほど燃費は悪化する。特に電気自動車は、空気抵抗の増加によって極端に電費が悪化する。

 ドイツのアウトバーンでも速度無制限区間は次々と縮小され、現在は全体の半分程度に減少した。その他欧州諸国でも、スピード取締が劇的に強化されて、平均速度はガックリ下がっている。

 これ以上の最高速度引き上げは、完全自動運転とエネルギー効率に関する超革命的な技術革新がセットで実現しない限り、行われないのではないだろうか。

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