車の運転は、道路交通法に従って行われる。そうしないと交通事故を発生させる危険が生じるからだ。ただ、実際に道路を運転したり、歩道を歩いていると、違反が見過ごされているシーンを目にすることは少なくない。
多くのドライバーは、きちんと交通ルールを認識しているものの、警察による取り締まりが実施されないと、違反であることを認識しないドライバーが一部存在することも事実だ。
そこで本稿では、なかでも身近に見かける4つの違反行為を解説。それぞれ明確に違反と定められているだけでなく、周囲の車にも危険を招く場合がある。
文:渡辺陽一郎
写真:編集部、Adobe Stock、Honda
【1】トンネル内の無灯火
◇「無灯火」の(違反)点数:1点
頻繁に見かけるのがトンネル内部での無灯火だ。
道路交通法では、第52条で灯火について定めており、トンネルに関しては道路交通法施行令の第18条に記載がある。
夜間、道路を通行する時は灯火を点灯せねばならないとしているが「高速自動車国道及び自動車専用道路において、前方200m、そのほかの道路では前方50mまで見える程度に、照明が行われているトンネルを通行する場合を除く」としている。
要は照明によってトンネル内部の視界が確保されていれば、灯火を点灯しなくても構わないというわけだ。
その結果、取り締まりまでは難しいのかも知れないが、無灯火で走れば当然に危険が生じる。たとえトンネル内部が明るく、自分から周囲が見えているつもりでも、周囲の車からは自車が見えていない場合も多い。
そもそも昼間なら、200m以上の前方までよく見える。トンネル内部で200m先が見えても、昼間に比べれば視界は大幅に悪い。従って点灯しないで済むことにはならない。
道路交通法施行令以前に、安全確保のためにトンネル内部では例外なく点灯したい。
【2】ウインカーを作動させない車線変更
◇「合図不履行」の(違反)点数:1点
道路交通法53条には、方向指示機(ウインカー)に関する記載がある。右左折、同一方向に進行しながら進路を変える車線変更などでは、方向指示機を作動させねばならない。
方向指示機を作動させずに車線を変える車両を見かけるが、合図をしない車線変更は違反になる。
また、道路交通法施行令第21条には、車線変更時には3秒前から方向指示機を作動させることを定めている。違反か否かにかかわらず、方向指示機は積極的に使いたい。
例えば、2車線道路の左側車線を走行中、路上駐車の車両を避けて右側に進路を変え、再び元の車線へ戻る時など、方向指示機を作動させない車両が多い。
完全な車線変更とはいえないから作動させないのだろうが、進路を変えるのだから、この時も方向指示機で周囲の車両に自車の動きを伝えたい。
そして、方向指示機を作動させると、後続車両の安全確保にも繋がる。左側を走る自車が方向指示機を右側に作動させれば、後続車両のドライバーも「自分からは見えない前方に障害物がある」と予想できるからだ。
後続車両の安全な先読み運転を促せる。意思表示は周囲の車両も含めて、交通の流れを安全で円滑にするわけだ。
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