ヤマハが2気筒エンジンの新型YZF-R7を出す勝算は?
新型YZF-R7は、かつてのYZF-R7やYZF-R6のポジションに立とうとしている。YZF-R6の並列4気筒エンジンはリッター200psに迫る高回転高出力を発揮したが、新型YZF-R7のベースとなるMT-07の並列2気筒エンジンはリッター100ps強と半分程度の性能でしかない。果たして勝算はあるのだろうか? ヒントは現在の400cc/250ccスポーツモデルにあるだろう。
1980年代のバイクブームでは、400ccや250ccモデルまで並列4気筒エンジンを搭載し、いつしか日本メーカーのスポーツバイクでは当たり前の装備になっていった。これが、今ではむしろ4気筒の方が少数派で、400ccフルカウルスポーツモデルのベストセラーは並列2気筒のニンジャ400だったり、250ccでもYZF-R25やCBR250RRなど2気筒モデルが中心だ。
中にはカワサキのZX-25Rのように、あえて並列4気筒モデルを出してくる例もあるが、これは2気筒モデルが中心になっているからこそできる差別化だろう。
新型YZF-R7は、すでに400ccや250ccで当たり前になっていることを大型バイクで展開するだけなのだ。これまで大型のフルカウルスポーツモデルが並列2気筒エンジンで大きな成功を収めた例はないが、ヤマハはYZF-R25でベストセラーを達成した実績があるだけに自信があると思われる。
今は絶対的な性能よりも手が届きやすい価格で売られていて「カッコいい」と支持されるモデルの方が市民権を得やすい時代なのだ。
ヤマハの並列2気筒エンジンは、ただの2気筒じゃない
新型YZF-R7のベースとなるであろうMT-07のエンジンは、CP2とも呼ばれるヤマハ独自の設計思想で開発されたものだ。CP=クロスプレーンコンセプトの2気筒版で、モトGPで活躍するYZR-M1のエンジンと同じクロスプレーンクランクシャフトを採用しているのだ。
CP2について言えば見た目は並列2気筒エンジンだが、クランクシャフトを90度ねじった形にしており、実質90度Vツインエンジンと同じ爆発をするようになっている。
ヤマハの説明によるとクロスプレーンコンセプトとは「慣性トルクが少なく、燃焼室のみで生み出される燃焼トルクだけを効率良く引き出す」設計思想で、直接路面を捉えているような感覚が得られるという。
この効能はYZR-M1やYZF-R1がサーキットで証明しており、新型YZF-R7でもクロスプレーンコンセプトのエンジンが武器になるはずだ。絶対性能はYZF-R6には及ばないものの、大型バイクのスポーツライディングをより親しみやすくしてくれるだろう。
最後にヤマハの新型YZF-R7に先行する形で、イタリアのアプリリアが並列2気筒エンジンを搭載したスーパースポーツモデル・RS660をデビューさせたことをお伝えしたい。
こちらはアルミフレームに電子制御満載の本格装備がヤマハと異なるが、より手軽にスポーツライディングを楽しんでもらおうというコンセプトは同じ。価格は約140万円で、約300万円で販売されている同社の1100ccモデルの半額以下を実現。手頃な価格面でも注目されている。
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