バイクのファンモデル電動化はカワサキの取り組みがヒントに?
先に触れたホンダの回答では、バイクでの目標は2050年とされている。また、豊田会長率いる日本自動車工業会が打ち出しているカーボンニュートラル化の取り組みも2050年を目指したものだ。政府のグリーン成長戦略が工程表に設定した乗用車の新車販売を「2030年代半ばまでに電動車100%」にする方針にコミットするかは意志を明らかにしていない。
自動車でこのような状況なので販売台数が少ないバイクが15~30年後にどうなるかを見通すことはなかなか難しい。バイク自体は元々燃費もよくエコな存在なことから、電動化の対象外になる可能性もゼロとは言い切れない。しかし、世界的な状況を見渡すと電動化の流れは確実に強まっており、避けては通れないだろうというのが関係者の見方だ。
ファンモデルの電動化については、コミューターを手がけていないカワサキの取り組みがヒントになるかも知れない。カワサキはスーパーチャージドエンジン搭載のH2をリリースするなど内燃機関の限界に挑戦する一方、Jというコンセプトモデルを2013年以降提案し続けているのだ。電源にはカワサキ独自のニッケル水素電池「GIGACELL」を使用しており、「カワサキはEVにも本気で取り組んでいる」という情報もある。
カワサキの本気ぶりを強く印象づけるのは、2019年のミラノショーで発表されたニンジャ250ベースのBEVの存在。ユニークなのは、ニンジャ250のエンジンの腰下を利用したMT仕様になっているところで、電動でも操る楽しさを追求することこそカワサキブランドの使命だとアピールする狙いがあるだろう。もちろん、こういった開発努力の成果がいずれ見られるかも知れない。
世界的な激しい競争で生き残りがかかるメーカーは、日本国内での雇用を維持しながら研究開発も行い将来に備えている。そこに打ち出されたカーボンニュートラル宣言とグリーン成長戦略。世界的な競争をリードすることを目的に前倒しを急ぐ方針は、メーカーに大きな負担を強いることにもなるだろう。
カーボンニュートラルの実現は、政府の支援なくしては成し遂げられないことは日本自動車工業会の豊田会長が訴えた通りだ。何よりこの政策が日本の将来とユーザーにプラスになることを願わずにはいられない。
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