バイクもガソリン車禁止に!? 政府のカーボンニュートラル宣言で二輪車もターゲットになるのか?


問題は電力のカーボンニュートラル化が進むかどうかが大きい

 乗用車を100%電動車にすると言っても、全てをBEV(バッテリー式)にする訳ではなく、これにはHEV(ハイブリッド)やPHEV(プラグインハイブリッド)やFCV(燃料電池)含まれており、日本国内の電動車比率はすでに世界2位、同台数は世界1位という高い水準を示している。今後の普及にはバッテリーの技術革新も必須となるが、自動車業界も着実に備えを進めている。

 目標達成に向けては電力の問題が大きい。カーボンニュートラルとは、「排出量に見合った温室効果ガスの削減活動に投資すること等により、排出される温室効果ガスを埋め合わせる(環境省)」カーボンオフセットの考え方を発展させ、排出量の全量を埋め合わせることで実質ゼロにする考え方。バイクではスクーターで存在感が強まっているBEVの排ガスがゼロでも、発電段階で温暖化ガスが排出されていてはカーボンニュートラル達成に近づくことはない。

 さらにグリーン成長戦略では「2050年に自動車の生産、利用、廃棄を通じたCO2ゼロを目指す」と打ち出されており、自動車の生涯のどの局面でも二酸化炭素排出の実質ゼロを目指すことになった。こうなると、日本の工場に供給される電力がどこまでカーボンフリーになっているかも重要となり、再生可能エネルギーの普及がなければ自動車業界・二輪業界の努力は散ってしまうのだ。

7割以上を火力に頼る日本の電力では車両や部品製造段階、充電時の排出量が多いためBEVはHEVよりもCO2排出量が多い。電力を再生エネルギーにできるかが鍵だが原子力という選択もある

バイクのファンモデル電動化はカワサキの取り組みがヒントに?

 先に触れたホンダの回答では、バイクでの目標は2050年とされている。また、豊田会長率いる日本自動車工業会が打ち出しているカーボンニュートラル化の取り組みも2050年を目指したものだ。政府のグリーン成長戦略が工程表に設定した乗用車の新車販売を「2030年代半ばまでに電動車100%」にする方針にコミットするかは意志を明らかにしていない。

 自動車でこのような状況なので販売台数が少ないバイクが15~30年後にどうなるかを見通すことはなかなか難しい。バイク自体は元々燃費もよくエコな存在なことから、電動化の対象外になる可能性もゼロとは言い切れない。しかし、世界的な状況を見渡すと電動化の流れは確実に強まっており、避けては通れないだろうというのが関係者の見方だ。

 ファンモデルの電動化については、コミューターを手がけていないカワサキの取り組みがヒントになるかも知れない。カワサキはスーパーチャージドエンジン搭載のH2をリリースするなど内燃機関の限界に挑戦する一方、Jというコンセプトモデルを2013年以降提案し続けているのだ。電源にはカワサキ独自のニッケル水素電池「GIGACELL」を使用しており、「カワサキはEVにも本気で取り組んでいる」という情報もある。

2013年に初公開されたカワサキのJ。2017年の東京モーターショーでも映像で紹介され、AIを搭載し状況やライダーの好みでライディングポジションが可変する様子が公開された

 カワサキの本気ぶりを強く印象づけるのは、2019年のミラノショーで発表されたニンジャ250ベースのBEVの存在。ユニークなのは、ニンジャ250のエンジンの腰下を利用したMT仕様になっているところで、電動でも操る楽しさを追求することこそカワサキブランドの使命だとアピールする狙いがあるだろう。もちろん、こういった開発努力の成果がいずれ見られるかも知れない。

2019年に公開されたフルカウルスポーツのニンジャ250をべースにBEV化したコンセプトモデル。変速機は4速リターンでクラッチも装備、100kmの走行が可能とされる。発売の予定はない

 世界的な激しい競争で生き残りがかかるメーカーは、日本国内での雇用を維持しながら研究開発も行い将来に備えている。そこに打ち出されたカーボンニュートラル宣言とグリーン成長戦略。世界的な競争をリードすることを目的に前倒しを急ぐ方針は、メーカーに大きな負担を強いることにもなるだろう。

 カーボンニュートラルの実現は、政府の支援なくしては成し遂げられないことは日本自動車工業会の豊田会長が訴えた通りだ。何よりこの政策が日本の将来とユーザーにプラスになることを願わずにはいられない。

乗用車、商用車、二輪車メーカーを束ねる日本自動車工業会の豊田会長は、12月17日にオンライン取材に応じ、カーボンニュートラル実現のために政府の支援を切実に訴えた

【画像ギャラリー】バイクの電動化は意外と進んでいる! カワサキのニンジャEVもあり

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