絶妙なクロカン仕立てのさじ加減
ダイハツとしてはジムニーの納期がいまだ1年待ち以上といわれているこの時期に、タフトのイメージアップを図りたいと考えるのは当然のこと。
タフトの販売のてこ入れによって、鬼のいぬ間の(?)ビジネス拡大を狙う意図もあるはずだから、そこで今回の「クロスフィールドVer.」の登場となったのだろう。
ジムニー対抗策のキーワードとなるのは「5ドア」だ。
利便性を考えれば5ドアであることは常にジムニーに対するアドバンテージになるわけだ。
あとはアウトドア風の演出をハードすぎず、ソフトすぎず、バランスを上手く採るかが、知恵の絞りどころということになる。むろん、ハスラーに対して先を行きたいという狙いもある。
この点で「クロスフィールドVer.」の見た目と機能の演出には抜かりなく、タフトをよりハードなイメージに仕上げるために、フロントバンパー周辺に装着されたアウトドアでの使用を意識したワンオフ製品の盛り具合は入念で、グリルガードを手始めに、牽引フック、ウィンチなどを重装備する。
デザイン上では最大のアクセントといえば、ジムニーのカスタマイズではおなじみの前後バンパーの下部をカットアウトして、オフローダーのイメージを強化したことだ。
フロントガラス上端のLEDライトなども、オフローダーとしてのこだわった装備といえ、タフさを得るための演出は手が込んでいる。
むろん、ベースであるタフトのデザイン上の魅力を残すために、ホイールアーチ周辺はノーマルの角張ったデザインを維持している。
オンロード用タイヤからオフロードタイヤのヨコハマ・ジオランダーを換えているのも、悪路走行をイメージさせる効果をもたらしている。ワンオフのリアマフラーやRS☆R製サスペンションキットを与えるなど、カスタマイズの肝はしっかりと押さえている。
うまく考えたなと思えるのは、リアランプガードをテールゲートのリアコンビネーションランプ部に追加装着したのは、加工を簡単に実施できるデザイン上の工夫といえる。
TASの会場で試せないのが残念だったが、ドアサイドには純正のガーニッシュとして、ストロボの発光によって魚など動物たちが浮かび上がるシールを貼り付けたのは“こじゃれた”演出だ。
内装でもセンターパネル周囲を囲むようにガーニッシュを与えたのはハスラーのそれを意識したのかもしれないが、カムフラージュ柄シート表皮を与えるなど、細かい演出を加えている。
この先の動向に期待大!
話をダイハツの事情に戻すと、これまでのTASでは、ダイハツは会場でのアンケートなどでの情報収集について、毎回積極的に実施してきたと記憶している。
ところが、このあいにくのTASのリアルワールドでの開催中止によって、会場で顧客からの反応を受け取れる価値ある機会を得られなくなってしまった。
ダイハツ広報部からは「あくまでコンセプトカー、参考出品車両ですので評価によっては市販化を検討したい」という冷静なコメントしか得られなかったのも致し方ないとはいえ、「おかげさまでご好評をいただいております」と即答が返ってきた。
これまでどおり、スズキとダイハツの軽SUVのバトルは続くだろうが、選ぶ側からすれば楽しみが続くことでもあるから、まずは事の成り行きに注目していくことにしよう。
みなさんの反響次第では、オフロード感覚バリバリのタフトクロスフィールドVer.が発売されるかもしれない。ぜひ盛り上げていってほしい!
【画像ギャラリー】ダイハツ タフトクロスフィールドVer.を見る! 本文未掲載のディティール部写真も! スズキ ジムニーと比べてみよう!
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