主役の座を奪われた2代目と走りを進化させた3代目
第2世代のセリカは北米市場を意識した力強いデザインだ。1978年にはスカイライン2000GTに対抗してLBのノーズを伸ばし、直列6気筒エンジンを押し込んだセリカXX(ダブルエックス)を仲間に加えている。
だが、軽快感の薄いデザインは日本のファンに不評で、ライバルのシルビア/ガゼールやコスモAPにスペシャルティカーの主役の座を奪われた。
そこで1981年7月に、ウエッジシェイプにポップアップ式の変形ヘッドライトを採用した3代目セリカを投入している。
走りの楽しさに不満が出ていたから、4輪ディスクブレーキやラック&ピニオン式のステアリングギアなどを採用し、走りのポテンシャルを大幅に高めた。
また、上級のセリカXXもモデルチェンジし、リトラクタブルヘッドライトやデジタルメーターなど、話題の装備を採用するとともに2800GTには当時最強を誇った2.8Lの5M-GEU型直列6気筒DOHCエンジンを積んでいる。
途中で日本初のDOHCターボを加え、1600GTのパワーユニットも新世代の4A-GEU型直列4気筒DOHC4バルブに換装した。A60と呼ばれる2代目のセリカXXも2LのDOHC4バルブエンジンを加えるなど、高性能化を図っている。
スペシャルティカーの魅力を、新しいテクノロジーによって強くアピールし、ファン層を大きく広げたのが、この時代のセリカだ。
4代目の流面形デザインは今も色褪せない
1985年8月、セリカは3度目のモデルチェンジを実施した。ST160の型式で呼ばれる4代目は、リトラクタブルヘッドライトを採用した美しい流面形の3ドアハッチバッククーペとして登場する。
3代目までは後輪駆動のFR方式だったが、4代目は駆動方式を前輪駆動のFFへと大転換した。サスペンションも4輪ストラットの独立懸架になる。
トヨタは下のクラスからFF化を進めていたが、プレリュードの好調にも刺激を受け、FFスペシャルティカーの道を選んだのである。
GTシリーズの心臓は、高回転を得意とする直列4気筒のDOHC4バルブだ。FR時代以上に気持ちいいハンドリングを身につけ、パワフルだから運転するのが楽しい。
1986年10月、センターデフ式フルタイム4WDのセリカGT-FOURを投入した。心臓はインタークーラー付きターボを組み合わせた3S-GTE型だ。
このGT-FOURはWRC(世界ラリー選手権)に参戦して大暴れし、新しいスペシャルティカーの時代を切り開いている。また、爽快なフルオープンのコンバーチブルをカタログモデルとして設定したのはこのセリカが最初だ。
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