かつてのトヨタの大看板 若者向けの代表車 今は忘れ去られつつある…セリカの偉大な軌跡

主役の座を奪われた2代目と走りを進化させた3代目

2代目セリカ(クーペ):1977~1981年 全長4410×全幅1640×全高1305mm、価格/157万7000円(2000GT)、リフトバックも設定
2代目セリカ(クーペ):1977~1981年 全長4410×全幅1640×全高1305mm、価格/157万7000円(2000GT)、リフトバックも設定

 第2世代のセリカは北米市場を意識した力強いデザインだ。1978年にはスカイライン2000GTに対抗してLBのノーズを伸ばし、直列6気筒エンジンを押し込んだセリカXX(ダブルエックス)を仲間に加えている。

 だが、軽快感の薄いデザインは日本のファンに不評で、ライバルのシルビア/ガゼールやコスモAPにスペシャルティカーの主役の座を奪われた。

 そこで1981年7月に、ウエッジシェイプにポップアップ式の変形ヘッドライトを採用した3代目セリカを投入している。

3代目セリカ(クーペ)前期:1981~1983年 全長4435×全幅1665×全高1320mm、価格/175万4000円(2000GT)、ポップアップ式ヘッドライトが特徴
3代目セリカ(クーペ)前期:1981~1983年 全長4435×全幅1665×全高1320mm、価格/175万4000円(2000GT)、ポップアップ式ヘッドライトが特徴
3代目セリカ(クーペ)後期:1983~1985年 全長4435×全幅1665×全高1320mm、価格/173万8000円(1600GT-R)、ライトが格納式となった通称ブラックマスク
3代目セリカ(クーペ)後期:1983~1985年 全長4435×全幅1665×全高1320mm、価格/173万8000円(1600GT-R)、ライトが格納式となった通称ブラックマスク

 走りの楽しさに不満が出ていたから、4輪ディスクブレーキやラック&ピニオン式のステアリングギアなどを採用し、走りのポテンシャルを大幅に高めた。

 また、上級のセリカXXもモデルチェンジし、リトラクタブルヘッドライトやデジタルメーターなど、話題の装備を採用するとともに2800GTには当時最強を誇った2.8Lの5M-GEU型直列6気筒DOHCエンジンを積んでいる。

 途中で日本初のDOHCターボを加え、1600GTのパワーユニットも新世代の4A-GEU型直列4気筒DOHC4バルブに換装した。A60と呼ばれる2代目のセリカXXも2LのDOHC4バルブエンジンを加えるなど、高性能化を図っている。

 スペシャルティカーの魅力を、新しいテクノロジーによって強くアピールし、ファン層を大きく広げたのが、この時代のセリカだ。

初代セリカXX:1978~1981年 全長4600×全幅1650×全高1310mm、価格/183万9000円(2600G)、北米では初代スープラとして販売
初代セリカXX:1978~1981年 全長4600×全幅1650×全高1310mm、価格/183万9000円(2600G)、北米では初代スープラとして販売

4代目の流面形デザインは今も色褪せない

4代目セリカ:1985~1989年 全長4365×全幅1690×全高1295mm、価格/207万7000円(2000GT-R)、流面形デザインが美しい
4代目セリカ:1985~1989年 全長4365×全幅1690×全高1295mm、価格/207万7000円(2000GT-R)、流面形デザインが美しい

 1985年8月、セリカは3度目のモデルチェンジを実施した。ST160の型式で呼ばれる4代目は、リトラクタブルヘッドライトを採用した美しい流面形の3ドアハッチバッククーペとして登場する。

 3代目までは後輪駆動のFR方式だったが、4代目は駆動方式を前輪駆動のFFへと大転換した。サスペンションも4輪ストラットの独立懸架になる。

 トヨタは下のクラスからFF化を進めていたが、プレリュードの好調にも刺激を受け、FFスペシャルティカーの道を選んだのである。

 GTシリーズの心臓は、高回転を得意とする直列4気筒のDOHC4バルブだ。FR時代以上に気持ちいいハンドリングを身につけ、パワフルだから運転するのが楽しい。

 1986年10月、センターデフ式フルタイム4WDのセリカGT-FOURを投入した。心臓はインタークーラー付きターボを組み合わせた3S-GTE型だ。

 このGT-FOURはWRC(世界ラリー選手権)に参戦して大暴れし、新しいスペシャルティカーの時代を切り開いている。また、爽快なフルオープンのコンバーチブルをカタログモデルとして設定したのはこのセリカが最初だ。

初代セリカGT-FOUR(ST165)はカルロス・サインツの手により、1990年に日本車初のドライバーズタイトルを獲得
初代セリカGT-FOUR(ST165)はカルロス・サインツの手により、1990年に日本車初のドライバーズタイトルを獲得

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