■ドライバーの不足と高齢化の対策にも
振り返ってみると2020年は新型コロナウイルスに翻弄され、いまだ終息の兆しはありません。また、感染拡大防止策を受け、我々の生活は一変、経済活動の根幹であるこうした物流業のあり方にも変化が訪れました。その一例が個人向け小口物流における取扱い数の増加です。
国土交通省「物流政策課」の最新調査によると、2019年と2020年の同時期における宅配便取扱個数は最大で148.0%と大幅な伸びを示しています。これはリモートワークなど在宅率の高まりにより、インターネット経由によるショッピングである「eコマース」の利用率が一気に上昇したことが主な要因です。
足元では、物流業界を支えるプロフェショナルドライバー不足への対策も不可欠です。
同じく国土交通省「物流政策課」の最新調査によると、2019年10~12月期では運送業を営む企業の64%が「不足」、もしくは「やや不足」と訴えています。
2020年1~3月期では46%と一時的な改善がみられましたが、コロナ禍の影響を本格的に受け始めた2020年4月以降は前述したeコマースの増大をきっかけに再びドライバー不足に転じています。
高齢化対策も重要課題です。全産業における就業者の平均年齢は42.2歳ですが、大型トラックドライバーでは47.5歳(+5.3歳)、中小型トラックドライバーでは45.4歳(+3.2歳)と、いずれも高齢化が顕著です。
長時間労働への対策も求められています。そのひとつが荷役作業における待ち時間の解消です。待ち時間は平均して1時間45分で、2時間以上の待機も物流全体の28.7%を数えます。結果的にトラックドライバーの平均的な業務時間は13時間27分(1時間23分の休憩含む)と長時間にわたります。
このように、小口物流の増加対策や深刻化するドライバー不足への対応、さらには高齢化対策や長時間労働の解消に加えて、運送業務中に発生する交通事故の削減も物流業界が直面する喫緊の課題です。
これら諸問題に対して商用車に特化した自動運転技術で抑制を図る……。これこそ日本が目指す物流業の未来です。
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