三菱ラリーアート11年ぶりに復活決定! WRC ダカールラリーに参戦か!?

市販車用のRALLIARTパーツやグレードが復活

2021年5月11日の三菱自動車決算発表会で発表されたプレゼンテーション資料
2021年5月11日の三菱自動車決算発表会で発表されたプレゼンテーション資料

 とはいっても、RALLIARTの復活が、WRCやダカールラリーといった、かつて世界の頂点を極めたモータースポーツカテゴリーへの参戦へと即つながるわけではない。

 2021年5月の決算で再び大きな赤字を出してしまった現在の三菱に、大規模な活動予算が必要な世界的モータースポーツに参戦する体力はない。

 それを鑑みたうえで、改めて発表資料を見てみると、「RALLIARTブランド」の復活と記されている。また、付随された画像は、不整地でドリフトするトライトンと、RALLIART Partsという文字が記された市販車のボンネット写真であり、いずれも競技車両ではなく、市販車であることがポイントだ。

 つまり、現時点でモータースポーツに復帰するという明確な意思表示は見られない。あくまでも、スポーツイメージを高めるためのRALLIARTブランド復活であり、しばらくの間はオプションパーツやグレードの一部にRALLIARTの名を記すというレベルに留まると推測する。

 ただし、実態なきモータースポーツブランドは空虚であり、ハリボテでしかない。一瞬、目を惹いたとしてもすぐに飽きられ、説得力のなさを見透かされることだろう。

2009年3月時点でのRALLIARTのカタログ
2009年3月時点でのRALLIARTのカタログ

モータースポーツはどのカテゴリーに参戦するのか?

三菱ワークスではないが、アウトランダーPHEVは三菱の技術支援のもと、2013年からアジアクロスカントリーラリー(ツーアンドフォーモータースポーツ)、オーストラレーシアン・サファリ(ミツビシ・ラリーアート・オーストラリア)といったラリーレイドで完走を果たしている
三菱ワークスではないが、アウトランダーPHEVは三菱の技術支援のもと、2013年からアジアクロスカントリーラリー(ツーアンドフォーモータースポーツ)、オーストラレーシアン・サファリ(ミツビシ・ラリーアート・オーストラリア)といったラリーレイドで完走を果たしている
2015年、ポルトガル東部で開催されたバハ・ポルタレグレ500に参戦したアウトランダーPHEV。ダカールラリーで2連覇を飾った増岡浩氏が監督兼ドライバー。総合成績は2日目のトラブルが祟り下位で完走するにとどまったがアウトランダーPHEVの高い走行性能を実証した
2015年、ポルトガル東部で開催されたバハ・ポルタレグレ500に参戦したアウトランダーPHEV。ダカールラリーで2連覇を飾った増岡浩氏が監督兼ドライバー。総合成績は2日目のトラブルが祟り下位で完走するにとどまったがアウトランダーPHEVの高い走行性能を実証した

 そして、そのようなことは、長年真剣にモータースポーツに取り組んできた三菱の人々なら、百も承知に違いない。RALLIARTの名を復活させた以上、裏側では何かしらモータースポーツ活動を準備しているはずだ。

 それがどのようなカテゴリーになるのかを推測するうえで、ポイントとなるのは「電動車」「SUV」「ASEAN」という3つのキーワードである。

 三菱のビジネスにおいて、この3つは非常に重要なファクターであり、益子体制下で細々と続けていた過去10年のモータースポーツ活動も、いずれもそのキーワードのひとつに絡んでいた。

 2012年から3年間チャレンジした「パイクスピーク」には、EVのプロトタイプでワークスチームとして参戦。また、2013年からは「アジアクロスカントリーラリー」に出場するアウトランダーPHEVへの技術支援を開始したが、その時もワークスに近い参戦体制だった。

 このうち、アジアクロスカントリーラリーへの技術支援は上記の3つのキーワードを全て満たすものであり、RALLIARTがモータースポーツ活動を再開するうえで、最適な大会だといえる。

 現在、三菱は経営資源の選択と集中を進めており、業績が良いASEAN諸国での販売を特に重視している。ASEANで好調なのはピックアップのトライトン、アウトランダーPHEV、エキスパンダー(クロス)、パジェロスポーツなど、いずれもSUV系の車種。

 ASEANでSUVの販売プロモーションに直結するのは、やはりアジアクロスカントリーラリーであり、WRCやダカールラリーと比べた場合、参戦コストは比較にならないくらい低くて済む。

 そのため、新生RALLIARTブランドのイメージにマッチしプロモーション時期も合致する、新型トライトンや、新型アウトランダーPHEVでアジアクロスカントリーラリーに参戦するのではないか? と考えるのが最も自然である。

 では、よりグローバルなモータースポーツにシリーズ参戦する可能性はないのだろうか? 最初に思い浮かぶのは、SUVとオフロードのイメージを訴求できる「FIA クロスカントリーラリー・ワールドカップ」への出場だ。

 三菱は過去にもUAE、イタリア、ポルトガルといった大会に出ているため、検討をしている可能性はある。

 ただし、2021年度のカレンダーを見るとシリーズ7戦であり、いきなり全戦に出場するのは、予算と体制の両面で厳しいだろう。また、コミットメントが少なくなりつつある、ヨーロッパのラリーが2戦含まれているのもマイナス要素だ。

 一方でアブダビ(UAE)、サウジアラビアといった中東諸国やロシアはミツビシにとっても依然重要なマーケットであり、以前のように単発での出場はあるかもしれない。

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