タイプRハイブリッドは追加で設定の可能性も
そのいっぽうで、2Lターボ+ハイブリッドという説も濃厚だ。前輪は2Lターボで駆動して、後輪には左右独立した2つのモーターを備える。カーブを曲がる時は、外側に位置する後輪に高い駆動力を与えることで、車両の進行方向を積極的に内側へ向けられる。後輪側の駆動システムは、レジェンドのSH-AWDに近い。
このシステムの欠点は車両重量の増加だ。後輪にモーターを搭載する4WDを加えるだけで、車両重量が100kg程度は増えてしまう。ノートの4WDも、2WDに比べて120kg重い。
さらにハイブリッドになると、制御システムやリチウムイオン電池の重量も加わるから、大雑把に考えて車両重量が150kg程度は増えるだろう。
従来型シビックタイプRの車両重量は1390kgだから、新たな軽量化を行わなければ、ハイブリッド4WDの採用で1540kgに達する。スポーツモデルとしては重い。
その半面、後輪をモーターで駆動すればパワーアップされ、加速性能も向上する。モーターは後輪を駆動するから、駆動力の伝達効率も高まる。前述の通り後輪左右の駆動力配分を調節できるから、旋回性能も一層優れたものになる。
そして欧州では、スポーツモデルでもモーターを併用する車種が増えてきた。スイフトスポーツも、欧州仕様にはマイルドハイブリッドを搭載しており、環境性能を向上させている。
ホンダの過去を振り返ると、1970年代の排出ガス規制に対応した初代シビックのCVCC(希薄燃焼エンジン)以来、優れた環境性能と運転する楽しさの両立が商品開発の大切なテーマになっている。
かつてはハイブリッドスポーツクーペのCR-Zを用意したこともある。今ではスーパースポーツカーのNSXがハイブリッドだ。
このようなホンダの伝統的な方針も考慮すると、今の時代にホンダが電動技術を使わない単純なスポーツモデルを投入するのは、不自然にも思える。
最近のコロナ禍等の慌ただしさも考えると、2022年に登場するシビックタイプRは、従来型と同様の2Lターボを搭載するかもしれない。その後、2Lターボ+ハイブリッドに切り替えることも充分に考えられるだろう。
あるいは両タイプを併売することもあり得る。従来型シビックタイプRの価格は475万2000円だから、そこに専用開発された2つのモーターを備えるハイブリッドを装着すれば、少なくとも550万円前後には達する。
高価格で、なおかつ運転感覚の違いも大きいため、両タイプをそろえるとユーザーに喜ばれる。そして環境性能のニーズが高まったら、2Lターボ+ハイブリッドに統合するわけだ。
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