スバルのBRZがモデルチェンジし、新型フェアレディZが発表された一方で、ホンダのNSXが生産終了、日産 GT-Rも厳しい状況になった。パワーユニットの大転換機を迎えた2021年、かつて若者たちが憧れ、オヤジたちが乗り回した国産スポーツカーは存亡の危機を迎えている。
一方で、フェラーリをはじめとした超高級ブランドでは、今もこれからも輝かしいスポーツカーが生き残っていくことは確実視されている。
そこで、どんな形なら国産スポーツカーが輝き続けることができるのか、EVスポーツカーはアリなのか、今とこれからの大衆スポーツカーのあり方について、自動車評論家の清水草一が考えた。
文/清水草一 写真/フォッケウルフ
■大衆ブランドが販売するスポーツカーは「絶滅寸前」
スポーツカー冬の時代が到来して久しい。バブルが崩壊してからスポーツカーはずっと冬の時代。数えきれないほどの国産スポーツカー/スポーツクーペが消滅した。最近では、ホンダNSXとS660の生産終了が発表され、日産GT-Rも、次期型があるのかないのか微妙な状況だ。
スポーツカーはかつて最もカッコいいクルマのカタチとされ、憧れだったが、現在その憧れは、それほど普遍的なものではなくなった(ここでいうスポーツカーには、ホットハッチやスポーツセダン等は含みません)。
その一方で、国産メーカーのスポーツカーへの情熱は、依然として絶えてはいない。トヨタはBMWとの協業でスープラを復活させ、スバルとの協業では86/BRZをモデルチェンジ。レクサスにはLCやRCもある。日産は新型フェアレディZを発表した。マツダはロードスターを30年間大事に育てている。
この状況は、世界的に見れば、涙ぐましい努力としか言いようがない。いまやスポーツカーを作っているのは、ドイツ御三家およびスポーツカー専業メーカー、あるいは超高級ブランドが主で、それを除けばほんの一握りに過ぎないのだ。一覧を見てみよう。
【イタリア】
・マセラティ MC20(超高級?)
・アルファロメオ 4C
【フランス】
・アルピーヌ A110
【アメリカ】
・シボレー コルベット/カマロ
・フォード マスタング
・ダッジ チャレンジャー
なんと、たったのこれだけ! 大衆車ブランドにおけるスポーツカーは、コルベットが年間2万台以上、マスタングが6万台以上売れている北米を除いて、世界的にほぼ絶滅しようとしているのだ。
そんななか、国産メーカーは、まがりなりにもこれだけの数のスポーツカーを作っているのだから、ビジネス抜きのクルマへの愛としか言いようがない!
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