■生産終了後も価格は高騰 コラボモデルも登場し永く愛される1台に
世の中の一部では、ある意味愛された存在であったことは間違いないミツオカ オロチが、市販バージョンの発売から約8年間は奮闘したものの、結果として生産終了となった理由。
それは前章でも申し上げたとおり、年々変わりゆく法規に対応させていくことが困難で(具体的には、2014年10月から実施された横滑り防止装置の義務化に対応させるのが難しかったようです)、トヨタからのエンジン供給が終わることになってしまったからにほかなりません。
この理由について煎じ詰めて言うのであれば、「要するに、光岡自動車がきわめて小さな自動車メーカーだったから」というのが、オロチの生産終了の理由でしょう。
もしも光岡自動車がトヨタ並みの――とまでは言わずとも、自社でエンジンを開発できるぐらいの規模を持ったメーカーであったなら、その後も「オロチ2」「オロチ3」などが、ごく少量ではあっても生産され続けた可能性はあります。
しかし、あいにくというのか何というか、光岡自動車はそういった規模のメーカーではなく、英国のバックヤードビルダーに近いともいえるメーカーです。
それゆえ、開発と生産はさまざまな事情に影響を受けざるを得ませんし、逆に「何があっても自社開発と生産と続けるぞ!」みたいな決意をしてしまったら、過剰投資によって会社は存続の危機をひんぱんに迎えることになるのでしょう。
それゆえ、ミツオカ オロチの生産終了は「まぁ仕方がなかった」というのが最終的な結論となります。
とはいえ、それにしてもオロチのデザインは偉大であったような気がいたします。
かなり癖の強いデザインですので、嫌いな人は大嫌いかもしれません。
しかし、あくまでジャパン・オリジナルの、日本独自のカルチャーに体重をかけたデザインである同時に、いわゆる“ジャパネスク”的な、欧米人好みの異国情緒を取り入れるという安易な逃げ方はしなかった「硬派でインディペンデントな傑作」として、筆者は記憶し続けたいと思っています。
というか記憶し続けるも何も、中古のオロチは今なおけっこうな人気で、2021年9月上旬現在、流通しているミツオカ オロチには800万円以上のプライスボードが掲げられているのですが……!
■ミツオカ オロチ 主要諸
・全長×全幅×全高:4560mm×2035mm×1180mm
・ホイールベース:2600mm
・車重:1580kg
・エンジン:V型6気筒DOHC、3311cc
・最高出力:233ps/5600rpm
・最大トルク:33.4kgm/4400rpm
・燃費:――
・価格:1050万円(2006年式 ベースグレード)
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